新入生歓迎に二曲

 大学のサークルで演奏するんだとさ。
 新人歓迎か?今度は。
 例によってプログラムに曲紹介を書いているが、
いいかあ、お客さんは「頭のいい人」を見に来るんだぞ。
カッコよく書けばいいんだよ。

 天を切り裂くように始まる究極の無窮動、透明な想いがじわじわと積み重なるブーレを挟んで、およそどんな人間の感情にも寄り添うことができるロンド形式のガボット。
 バッハがパルティータ三番を未完成で終わらせていたとしても後世の人は「内容的には完成されたもの」と評したでしょう。
 でもバッハはそこになぜ、ありふれた形式と言えるメヌエットを、しかも二つも続けたのでしょうか。
 私なりの解釈を弾いてみました。

 こう書いておけば、なんか意味ありげで、正直演奏はなんでもいい。
 が、ちゃんとそれなりの考えがあるようなことは言えるように作っている文章であることは言うまでもない。

 最初の3曲を表するのに
・天が
・透明な想い
・人間の感情
と精神的なものであるかのような表現を使った。
 そこに代表的な舞曲であるメヌエットが続く。最初のメヌエットで、今度は自分の足で立ってみよう、と手を伸ばしているのよ。そして次のメヌエットで寄り添って歩き始める。
 パルティータ三番、3曲で終わってしまえば精神的に参っている人に同調して終わりってところがある。メヌエットを二つ並べて実際に立って、歩き出すところまでいくわけだ。
 そして終曲で自分の目で周りを見渡して世界の中で自分の立ち位置を知ることになる。

 長い受験勉強をくぐりぬけてきた新入生を歓迎するにふさわしい曲だと思うがどうだろうか。

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