ITって「イット」でいいんじゃ?

 現在進行中の「IT革命」、「イットってなんだ」と森首相がおっしゃったらしいのはもはや伝説と化していますが、ひょっとして「イット」と読んだのでいいんじゃないかという気がしてきました。

 自分の知っている世界の外に、何かいいものがあって、それさえ分かれば現在の問題が一気に解決する、という思いこみが単語の形をとって「IT」と呼ばれているとすれば、「イット」と読んだ方がその性質にふさわしいでしょう。
 こういう便利なものを追い求める気持ち、私にも覚えがあります。「勉強のやり方が分からない、それが分かればもっと楽に成績が上がるのになあ。」もちろんそんな都合のいいものは無かったようですが。

 似たようなもので「ハウツー」とか「ノウハウ」というものが流行した時期もありました。これを知っていればうまくいく、この通りやれば問題ない、というやつ。青春出版社が得意でしたね、この分野。
 では今、誰の目にも明らかな解決が必要な問題というと、低迷する国内景気をなんとかしたいということ。何か特効薬がほしい。で、合衆国を見ると景気が良さそうだ。なぜか?向こうじゃ「IT」が流行っている。じゃあITを持ってくれば日本も景気が回復するはずだ。単純な発想ですが、所詮ITへの期待ってこんなものだと思います。
 ですから、ここで言う「IT」とは景気回復の「やり方」であり、「ハウツー」であり、「ノウハウ」なわけです。だったらその「ノウハウ」を「それ(IT)」と呼んだとしても、文脈上全く問題はありません。とりわけ政治家にとってはそうでしょう。

 自分が認識している世界の外に、「やり方」「ハウツー」「ノウハウ」があって、それが何とかしてくれる、という思いこみは、まだ「方法」であるという認識があればよいのですが、だんだんずれてくるものです。今のところ追い求められている「IT」は技術ですが、これが「ビル=ゲイツのような日本経済の救世主」を求めるようになると、、、そうなれば「宗教」と呼ばれるようになるでしょう。ITだけでも怪しいものです。人格化こそされていませんが、日本経済の救世主としての期待をかけられていますからね。
 ちょっと理論が飛躍しすぎ、と思われる方も多いかもしれませんが、ITという何かよいものを(政府とかがお金を出して)自分に教えてくれることを期待している心理は、救世主が向こうからやってきて自分を救ってくれることを期待している心理とあまり隔たりはないように思われるのです。

 そういえば、バブルを能天気にもあおった日経新聞は、今度はITへの過度の期待を奨励しているようだ。たとえば国際線のビジネスクラスの客が増えておりIT技術者の姿が目立つなどと書いている。座っている人に聞いて回ったわけでもないだろうに、どうしてIT技術者と分かるのかは不明である。でもまあ確かにIT技術者というのは見ていてよく分かる。情報処理試験の日の朝、駅からぞろぞろと会場に向かう人々の姿を見れば一目瞭然である。こういう人種がビジネスクラスのシートを占拠しても、うーん、あまり景気がよさそうには見えないなあ。
 同じく日経新聞によると、一個数百万円という高級時計もIT関連企業の経営者への売上が目立つのだそうだ。これは一新時計に取材した結果らしい。なるほど、この会社は顧客情報を新聞記者に流しているのか。普通金持ちは個人情報を流されるのを嫌うのだが、、、。IT企業の経営者はなめられているのか?どうも底の浅さが気になって仕方ない。

 ちなみに、「勉強の仕方」ではありませんが、正解が分からなくても解答が書ける方法はなきにしもあらずです。例えば地理の問題で、この港でとれる魚は?というものがあった場合、「寒流が流れていれば、たら、にしん」と覚えておけばなんとかなります。
がんばれ受験生!といっても私のコラム読んでいる受験生っているのでしょうか?

 そういえば、今日(10月10日)は2000年問題のKeyDateなんですね。年月日が8桁になる最初の日。どこかで立ち会い体制をとらされている人もいるのでしょうね。それはそれで大したことだと思います。たとえ皆さん忘れても、しっかりと持ち場を守る。大事なことです。
 ちなみに私事で恐縮ですが、本日は結婚記念日であります。いつもお世話になっております。今後ともよろしくお願いします。あなたのおかげで私とっても幸せでございます。
 しかーし、当初の予定では毎年結婚記念日は休めるはずであったのに。Happy Mondayとやらで休みでなくなってしまった。個人的にはひじょーに怒っている。

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