東京村飢饉の時

 お金がほしくてたまらない東京都は、いろいろと奇策を打っているようです。
 ドタドタと外形標準課税も決めちゃったようですし、冗談と思っていたロードプライシング(要するに、都の道路を全部有料道路にすることと理解しているのですが)も、どうやらまじめに考えているようです。

 もちろん外形標準課税の条例は無効であるとかつての赤字国債高値買い入れ銀行団の主要メンバーは提訴しているそうですが、この外形標準課税のデメリット、肝心なことが話されていないように見えます。
 つまり、この調子でいくといつ税金を取られはじめるか分からないので、東京都にオフィスを構えるのは止めようと、普通の会社なら考えるだろうということです。特に外資系金融機関。東京にオフィスを構えるのをためらうことになるでしょう。そうなるとニューヨーク、東京、ロンドンの金融三極体制は見直しとなり、極東では、例えばシンガポールが金融センターとして台頭してくることになるのではないでしょうか。

 さすがに有価証券取引となると東京証券取引所という地理的条件に頼ることができそうですが、シンガポールと東京の証券取引所の株式上場を統一しようとかいう話もあるそうです(10/15日経1面)。さらには世界8カ国の証券取引所で夜間取引の統一システムを作ろうと言う計画もあるみたいです(10/14日経1面。これにシンガポールが入っていないのはご愛敬)。そうなると、東証に上場されている証券が日本市場に頼らずに売買できることになり、その注文もインターネットで、などということになれば、何も東京にオフィスを構える必要はなくなる。ならば知事の思いつきでいつ税金を取られるか分からないリスクを犯す会社は少なくとも外資系にはないでしょうから、外資が東京を通る機会は少なくなる。もちろん有価証券がネットだけで取り引きできるかどうかは疑問ですが。(リアルタイムで株価が通知されていることが保証できないインターネットで成り行き買いが可能か、議論が分かれると思います。)
 まあ「世界の金融センター」という看板がどの程度の経済波及効果をもたらすかが分からない以上、目先の税収が大事だ、と判断したとすればそれはそれで仕方がないのですが、今流行のIT革命のおかげで、今までには予想もつかなかった速度で市場が逃げ出す可能性が高くなっていることは認識しておいてほしいものです。

 都の道路、全面有料化!も車での移動を伴う企業が東京を敬遠するには十分な理由となるでしょう。もちろん「更に妙な課税をされるのでは」という懼れは企業の東京進出を妨げるのに充分な理由になるでしょう。金の卵を産むめんどりを殺す、という表現がピッタリですね。日本村を飢饉にしてでも、自分だけ種籾を食べて生き残ろうという態度に見えなくもないですが。

 東京都もそこまでしてお金がほしいのなら、都庁のスペースをIT関連ベンチャーに貸しだして、代わりにストックオプションをもらった方が、よほどタイムリーだと思うのですが。もちろん法整備は大変でしょうが、、、そのくらいの条例は平気で作らせそうですね>都知事さん。

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