サンタクロースの復権

 《クリスマス島での核実験以来、サンタ一族は死に絶えたと言われてきましたが、ところがどうして、生きています。1つは子どもにいうことを聞かせるため。もう一つは、照れ屋の僕が年に一度、あなたにプレゼントをするためです。》
 これ以上のクリスマスカードのセリフを未だに私は書けないのでありました。

 戦後の日本は貧しかった。
 でも物のあふれるアメリカ文化への憧れはあった。
 とはいえ子どもに物を買い与えるわけにはいかず。年に一回くらいは出来るけどもかといって贅沢を教えるわけにはいかない。
 だからサンタさんがやってきて子どもたちにプレゼントをくれた。

 豊かになってサンタさんに頼る必要はなくなってきた。
 子どもにプレゼントを買うくらいのお金はある。

 でも本当にサンタさんはいなくてもよいのか?

 本家合衆国がおかしくなってきたのではなかろうか。チャンスの国アメリカ。そこはフロンティアスピリットのあふれる国だったはずだ。しかし幌馬車隊が太平洋に到達して新たな土地が発見できなくなって随分たった。そのせいかホテル=カリフォルニアでは1969年から蒸留酒(スピリッツ)を扱っていない。そんなわけで、人間を栽培する畑と表現されることもあるロス=エンジェルスで、いつでも出ていける(チェックアウトできる)筈だけども、誰もがそのままでぬくぬくと生きている。
 それでもカリフォルニアには、シリコンバレーがあって、ドットコム企業が株式市場では大成功していたが、実際には何も作らないまま潰れつつある。

 この閉塞感をなんとかしてくれる夢への窓口、サンタ=クロースが、いなければならないんじゃないかな。

(BGMはもちろん『ホテル=カリフォルニア』by Eagles
You can check out anytime here. But You may NEVER Leave.)

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