公共交通機関で賠償問題

 今朝、乗っている電車に駆け込み乗車をした人がいた。例によって「発車間際のご乗車は大変危険でございます」のアナウンスがあった。しかしいつもと違っていることが1つ。その人はドイツ系アメリカ人と見受けられること。
 従って、アナウンスは英語でやらないと分からないかもしれない。

 日本人ならアナウンスして、当人に恥をかかせて一件落着であるが、もし相手がアメリカ人であれば恥という発想はないらしいから全然効かないかもしれない(ね、ベネディクトさん@「菊と刀」)。これは合衆国的にやろう。無理矢理訴訟に関連させる。

乗っていた列車の車両は、
座席:54
吊革:76
手摺:16
から考えて、定員はだいたい180人。
これが15両編成であるから、定員は2700人。
駆け込み乗車によって、電車が10秒遅れたとして、損害時間は約450時間。
ファーストフード店の時給700円を掛けたとしても、315,000円。
 さて、損害賠償はこれで済んだとしても、賠償金の支払いコストは、銀行振り込み2700件として手数料だけで100万円になるぞ!
 こういうとアメリカ人、自分がものすごい罪を犯したと反省するかもしれない。

 しかーし、私がこんな風に訴えられたとしたら何とか反撃しようと試みるだろう。
 今朝見たレベルの駆け込み乗車をしたことが、私自身過去一度あるが、そのときは乗り継ぎ元の電車が遅れたからであった。これは十分な言い訳になると思う。
 だいたい、電鉄会社自身が電車の遅れに対して無頓着である。新幹線は2時間の延着までは払い戻しなしだから「駆け込み乗車で2時間遅らせた」ということがない限りは保証不要かもしれない。

 場合によっては10分の遅れで大損害になることもある。はあ、なんとか最終電車に間に合いそうだ、と渋谷駅に駆け込む。乗り継ぎは3箇所。途中の電車が10分遅れた。これで最寄り駅までの終電に間に合わなくなった。タクシー代が・・・これは私個人としては実害だぞ。
 この遅れが人身事故で人が死んだためなら、まあそれなりの畏敬の念を持とう。しかし、直接接続するのでもない電車が遅れたので玉突き式にこいつを人為的に遅らせたというのが気に入らない。
 車掌に文句を言うと「そういうこともあるんじゃないですか」と人ごとのような返事。「申し訳ございません」の一言をまず言え!国鉄!
 問題は、私がごねた場合。これで本日私が帰宅をあきらめたとしたらJRはどこまで責任をとってくれるのだろう(定期でなく切符を買っている)。列車の遅れで旅行をとりやめたのだから、規定では出発駅まで無料で送り返してくれるはずである。その日の宿はどこに提供してくれるのかなあ。それとも1編成仕立てて渋谷まで連れて行ってくれる?
 ちなみにJRではタクシーによる振替輸送もやってくれることはくれる。駅の助役のハンコは必要だが、過去一度JRにタクシー代を出してもらったことはある。故障の復旧が予定時刻を超過してしまい、接続の終電に乗り遅れたときであった。(もっと早く言ってくれれば別ルートの振り替え輸送で帰れたという条件がきちんと証明できたからここまでしてくれたのだろうけど。)

 でも航空会社はもっとひどいぞ。遅れたからといって何か保証してくれたことはあるか?せめてジェット料金900円くらい払い戻せ!と思ったところ、いつの間にかジェット料金というのは無くなっていた。
 むかし私の担当教授は、成田からロンドンまで33時間かけられたらしい。何らかの理由で遅れてしまい、乗務員の連続勤務時間が労働組合との規定をオーバーするので、地球を逆に回ってピッツバーグで乗務員を降ろしたそうだ。乗客を待たせて。
 労働組合との規定は訴訟になるから守るが、乗客との契約は航空会社側の特約で自由自在だから無視するという態度がありありと見える。

 航空自由化というときは、この辺の契約の差異もしっかりと明るみに出してほしいものだ。遅れるかもしれないが、安いからこの航空会社。遅れたときにはしっかりと保証してくれるから高くてもこの会社。こういう選択の自由を与えてくれることも航空自由化の一環だと思うのだが。航空会社にブランド力があるとすれば、契約がどれだけ顧客寄りか、どこまでがんばってその契約を守るかということになると思う。なんたって実用品なんだから。もしブランド品のバックがすぐ壊れてしまったら、偽物をつかまされたと判断しますよね。たとえどんなにデザインが優れていようとも。

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