夏休み特集!!テーマパーク大好き

 以前より考えていることに、ファミリーレストランのデニーズが食を扱ったテーマパークを作らんかな、というのがある。名前はもちろん「デニーズランド」。これで不二家と提携してネズミ形の砂糖菓子「ミルキーマウス」を開発し、マクドナルドと提携してのアヒル肉を使ったハンバーガー「マクドナルドダック」を販売すれば、勘違いした人がどどっとやってきて大ヒット間違いなし。  当然そんな風にはなりそうもない。間違いなく失敗する。誰もがそう言う。でもなぜ失敗するのか、ちゃんと考えてみましょう。

 テーマパークと普通の遊園地がどう違うのか?誰かこれに答えてくれます?私の中では結構はっきりと区別がついている。古い言い方では、イメージ戦略の問題である。消費記号論の問題である。遊具が楽しいから行くのが遊園地。参加するのが楽しいから行くのがテーマパーク。より正確には、その場に参加している自分が好きだから行くのがテーマパーク。だからリピーターが普通になる。
 もっと露骨に言うと、遊園地に対しては、遊具の与える娯楽に対価を支払っているが、テーマパークの場合は、自分自身が作り出したイメージに対価を支払っているのである。で、そのイメージを作る要素となるものが「テーマパーク」の「テーマ」なのだ。
 だから、ディズニーランドではアトラクションのために並ぶという行為ですら、イメージに参加してるということで、アトラクションの一部になる。ディズニー社自体もその辺は考えていて、並ぶ人を退屈させないよういろいろと工夫している。逆に待ち時間なしだと、なんか物足りないような感じさえ受ける。頭がスペースマウンテンモードに切り替わってわくわくする前に発車してしまえばただのジェットコースターである。

 かくして、食をテーマとするテーマパークを作っても、食べる以外の価値を(イメージを)付加する(自分の頭の中で生産する)ことが困難だからということで、冒頭に上げたデニーズランドは成功しそうもないということになる。まてよ、ハーゲンダッツランドなら出来たかな?日本人は行列が好きだと揶揄されるほどに並んでいたというもの。
 美味しいものを食べるために並ぶ、というのはよくわかるが、たかがアイスクリームに1時間並んだという噂を聞いたことがある。あれは「ハーゲンダッツに並ぶ」という行為そのものがそれなりの満足をもたらしていたということになるのかな?

 そんなわけで、ディズニーランドに行ってきた。まだ子どもが小さくてメリーゴーランドと空飛ぶダンボくらいしか乗れないのだが、まあショーは楽しめた。たいしたものだ。フリークはディズニーシーに集まっているので、かなり空いている。そんなわけでお父さんだけ5分待ちのジェットコースターを一通り回ってきたのだが(1日4つ!)全然待たされないと逆につまらないかなと感じた次第。その分いかにディズニーランドがよく出来てるか感心した次第。
 東京ディズニーランドは驚異的大成功を収めたが、その理由はディズニーがテーマパークとして提供する消費記号論の世界が「象徴の帝国(ロラン=バルト著)」日本にすむ人間にはきわめて受け入れられやすかったからということだろう。

 そんなわけで、テーマパークの成否は、いかにお客さんに自発的にイメージを作ってもらうかに尽きるということになる。「これがテーマです、その気になってください」では駄目なのだ。少なくとも来る前にその気にさせなければ、最低うちの子のように「みっきーのおうちにゆく」くらいは言わせないと。
 うまくゆくとこんないい商売はないぞ。なにしろ、お客さんは自分の方で膨らませたイメージにお金を払ってくれるのだ。(まーバブル景気のときにはあちこちで見られたことでしたが。)

 この理論から言うと箱根ユネッサンはテーマパークとしては失敗していることになる。でも温泉だからいいのかな。ここで一箇所だけ感心。館内はキャッシュレスでリストウォッチに支払い機能がついていて出口で清算する。館内は水着一着なので財布を持つところがないから、これは実に合理的なシステムである。一応クレジットカード型電子マネーになっている。かくして、電子マネーの商品化を考えているところは「視察」と称して、ここに遊びにきても一応形にはなると思う。

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