経済的テロ

 世界貿易センターへの航空機突入が「同時多発テロ」とされ、それを口実としたアフガニスタン内戦への合衆国を中心とした同盟軍の介入戦争となっているようだ。

 でもどうしてもこの流れ、違和感があるんだよなあ。今までのテロの範疇で計ることができない。何者かの犯罪ではあるようだがテロではない。だって要求がない、犯行声明すらない。普通、テロというのは何らかの要求・主張を通すために非合法手段に訴えることではなかったか?個人/組織レベルの殆どのテロは犯人の逮捕・死に終わるという意味でであれば確かに失敗しているが、要求を通す、ないし主張を広めるという意味では必ずしも失敗してきたわけではない。
 彼らは主張と命を引き替えにしてきたわけだ。命に代える主張があるという、その一点だけなら、彼らは尊敬に値する人間であるかもしれない。そういう意味では、マスコミを通じた主張を安易に行うマスコミ人を彼らが敵視するのも理解できる。例えば赤報隊のように。
 そういう意味では地下鉄サリン事件もテロとは思えない。目的は警視庁の動きを押さえるという、それだけのことであった。ただし、影響と手段があまりであった。

 ところが世界貿易センタービルに旅客機をつっこませるということには明確な目的が感じられない。少なくともテロとしては感じられない。いったい彼らは何がやりたかったのだろうか。
 単純に株価を下げたかっただけなのだろうか。でもそれ以外合理的な理由が今のところ考えつかない。まず景気を悪化させる(その間、空売りで儲ける)。世界に反米感情を巻き起こす。くらいの効果しか考えられない。
 確かに経済的打撃は与えた。そして航空機を通じた輸送という点で物流にも影響を与えた。これで経済のグローバル化の拡大(ウォーラースタインの言う「世界システム」みたいなもの)からイスラム圏を守るというのが目的としたら、成功しているかもしれない。
 そして今度は郵便を用いた炭疽菌の送付−電子メールの添付ファイルとしてウィルスを拡散させるというアイディアからヒントを得たような気がしてたまらないのだが−で郵便網をつぶす。流れは分かる。今度はフェデラルエクスプレスのハブ空港に化学兵器を投入するか?最後はインターネットが標的になるかな?

 経済的効果をねらったテロとすれば、これは従来の手法では防ぎきれない。合衆国が空爆をするほどイスラム圏はグローバリズムを拒むだろう。アフガニスタンという土地も効果的だ。ソ連が介入したのを合衆国は非難した経緯があるから、多少は合衆国も後ろめたいだろう。複雑な地形では巡航ミサイルトマホークも誤爆が避けられないだろう。
 それにしてもテレビ朝日が「ランボー、怒りのアフガン」をなかなかやらないなあ。日米自動車交渉にあわせて「タッカー」を流したときは、えらいと思ったんだが。

 経済的テロというと、007の「ゴールドフィンガー」ですかね。合衆国保有の金を核汚染させて自分が保有している金の価値をつり上げるというの。

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