思い出したのは、大和銀行が合衆国での業務から撤退を申しつけられた件だ。ニューヨーク支店で井口という嘱託が、損失を隠蔽し続けてきたという事件だったそうな。社会問題ネタ、目次へなんで合衆国から撤退せざるを得なかったかというと、事件が発覚した後の会社の対応がまずかったかららしい。
毎日新聞の記者(カメラマンか?)がイラクで拾った爆発物が、ヨルダン国境の手荷物検査で爆発したという件、新聞社の対応によっては、大和銀行と似たようなケースになると私は見ている。
現在、日本のマスコミの報道では、この記者個人がどういう処分を受けそうか、というのが焦点となっているが、どうして毎日新聞が社としてどういう処分を受けるかというのに思い至らないのだろう。
毎日新聞は、TIMEでもロイターでもCNNでもない。世界的には無名の会社である。無名の会社のよく分からない「自称記者」が爆弾を持って紛争当事国から出ようとしたのだ。行動だけ見ればテロリストであると判断するのが常識といえよう。
で、よく聞いてみると従軍記者だという。テロリストではないかという疑いを持って聞く人に対しては「なるほどうまい隠れ蓑だ」と思わせることにしかなるまい。
では、その隠れ蓑を提供した会社はどこだ・・・マイニチシンブンシャ・・・、至極まっとうな危機管理意識を持つ組織は次のように判断するはず・・・「マイニチシンブンシャは取材禁止としよう、いつ爆弾を持ち込まれるか分からない」。かくして国連も合衆国も毎日新聞の記者には退去を命ずることになる。地方紙ならともかく、全国紙としては致命的だ。(もちろん一般企業から取材拒否を受けても文句は言えない。)
もし、そうならないとすれば、それは日本が合衆国の軍事行動を支持したからであろう。(これが軍事行動に反対したフランスのマスコミなら、いい口実ができたと合衆国は出入り禁止措置を発動するだろう。)かくして毎日新聞は小泉首相に頭が上がらなくなり、当分の間小泉首相の宣伝紙となる。どちらにしても毎日新聞社はもう駄目だ。だから、毎日新聞社のすべきことは2つ。この記者はゲリラや過激派とつながりはないことを証明し、報告すること。そしてこの記者が心神喪失の状態ということにしてしまうこと。
この記者が急に心神喪失になっていたとしても変ではない。なにしろ戦争に行ったのだ。罪もないイラク人民が誤爆で死体となったのを見ているうちに・・・ということにすれば、多少は合衆国にも罪をなすりつけることもできる。がんばれ、毎日新聞。まだ間に合うぞ。夕刊を読んでいると記者にある程度紙面を自由に作らせて、若手を育てようという姿勢が感じられ、多少は好感を持っていたのだ。
もっとも、その結果育ったのが、ああいう記者だったとすれば、あの試み失敗だね。折角、内容のない夕刊につきあって購読していてあげていたのに。