年金基金をよくする方法

 年金制度。今の今まで、公的年金というのは積み立てたものを政府が運用して、その果実をもらうものだと思っていた。が、そうではないらしい。翌年年金支払いに必要な金額を納付者に課税し、政府の手元には一銭も残らないという制度らしい。

 不思議なのは、最初にこの制度が導入できたという事実である。だって「これから年金制度を始めます。今受給資格のある人には無償で年金を支払います。そのお金は今働いている人から強制的に集めます」と言って素直に支払う奴がいるかね。これが「公的年金というお得な保険を始めます。みなさん自分の老後のためにお金を貯めましょう。政府が責任を持って運用し、いくらかは補助もします。すでに引退している人の分の掛け金は政府が特別に負担しましょう」なら、うんという人がいそうだ。

 だからどっかで軌道修正がこっそりと行われていたのではないかと思うんだな。だって厚生年金基金の代行運用の返上、って今ホットな話題でしょ。つまり、基金の運用はされているのだということ。運用されている以上、各年ごとの徴収/受給が年金制度の本質ではないはず。つまり現在の代行運用の返上の流れは、大きな目で見れば(そして疑いの目で見れば)、年金制度が「積み立て」であったことの証拠隠滅なんじゃねえかということ。

 とにかく譲って、年金制度が単年の徴収/受給で構成されているとして不思議なのは、いかにも不動産投資です、というような物件の建設や購入が年金基金よりなされているということだ。さらにはこれらの投資の赤字の穴埋めにさらに年金の掛け金をつぎ込んでいるということ。おかしいやないけ、どないするんじゃー、と週刊誌その他が怒ると、役人の方は「これは、今掛け金を払っている方への見返りとして作ったものです(赤字でも、それはしかたありません)」などとおっしゃる。どうも理屈が後付っぽい。
 もしそのとおりであれば、例えば厚生年金会館の入り口で年金受給を開始している方、および掛け金を払ってらっしゃらない方をチェックし、入場をお断りするという仕組みが必要なはずである。しかし大ホールではティーンエージャーのアイドルの公演はしっかりと行われているようだ。

 もし、今掛け金を払っている人への見返りを本気で考えて年金基金を事業に投入しているのであれば、もっと有効で、理解の得られる使い道があるだろう。例えば働く女性が子供を産みやすいように保育所を作るのである。そうすれば出生率も多少は向上し、将来年金の掛け金を払ってくれる人口も増えるというものだ。年金制度維持のためという目的はキープしているのだから、こういうのならまだ分かる。
 でも実際問題としてどの程度効果があるのだろうか。適当に試算してみるか。今、年金事業が損失を出している額を計算し、公立の保育所の運営コストと突き合わせれば、どれくらいの保育所ができるか。
 まずは、厚生年金基金の支出、業務取扱費1910億円で、いったい何人の子どもを保育所に入れることができるかを考える。なかなか資料が見つからなかったが、こういうものならあった。これによると一人アタマ月額12000円あれば物価の高い政令指定都市でさえ十分にやっていけることが分かる。
 ということは、132万人の子どもを保育所に入れることができるわけだ。保育期間を最長の6年として、一年間に生まれる子供が22万人増やせるということだ。これは出生率を0.25押し上げることになる。(そーとー概算だけど、こうなっちゃいます。)
 これが厚生年金の負担/給付にどれだけの影響を与えるかは、、、これはいろいろ計算法があるからだれかやって。まあ50年後には年間1910億円以上の効果があることだけは確かだなあ。

 なに?保育所の箱モノをつくる費用が一時的に必要だから計算通りにはならんてか?ああ、それは大丈夫。厚生年金基金の代行分返上時に不問に付した特別利益分を改めて各企業から徴求すればなんとかなるでしょう。

 せっかく総選挙があって、みんな好きなこといえるんだから、マニフェストなんて分かりにくいものよりも、こういうのを計算して政策を考えてほしかったなあ。これも政治家の仕事だと思うのだが。

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