昔の法律ではないですよ

 焼き肉屋で「おつりが違う」と言っても日本語がよく分からないようで無視するので、あまりのことに腹立てて、値段表を書き換えると上手な日本語で「何をするんですか」と言ってくる。なんてずるい奴だと思う。
 この島は我が国の領土だと言って泳いで渡ろうとしておぼれる。日本の巡視艇による救助を拒否しておいて「全責任は日本にある」と言う、なんて身勝手なのだろうと思う。  ただしこれらの人を「韓国人だから」という枠でくくることは意識的にさけてきた。個人的には韓国(少なくとも任那)と日本は同一民族だと思っている。だから張本の広角打法に喝采を送ったし、美空ひばりの母親が在日コリアンと知ってもやはり日本の心と思うのだ。長州力は大ファンである。(張本については、最後まで韓国籍を捨てなかったことに敬意を表する。)
 ところが、この心情を貫くにはあまりのことが生じた。韓国は戦時中に日本に協力して反民族行為を行った人間の名簿を作るという国家プロジェクトを始めるらしい。名付けて(親日反民族特別法)という。反民族行為には次のようなものが含まれるそうな。《▽国権を守るために旧日本軍と闘う舞台を討伐したり討伐するよう命令した行為▽独立運動を妨害する目的で独立運動家およびその家族を殺傷・処刑・虐待または逮捕したり、これを指示又は命令した行為▽乙巳条約・韓国併合条約、そのほかに国権を侵害した条約を締結又は調印したり、これを謀議した行為▽中央の文化機関や団体を通じて日本の内鮮融和または皇民化運動を主導することで、植民統治および侵略戦争に積極的に協力した行為▽学生・志願兵・徴兵または徴用を暴行または脅迫などの方法で、全国的レベルで主導的に宣伝または扇動したり強要した行為》
 戦後すぐなら分からなくもないが、21世紀に入って、つい先週(2004/3/4)可決された法律である。

 非常にセンシティブな問題をはらみ、かくして日本国内ではほとんど報道されていない。当方も評価はさけたい。ただし事実を等置することはする。この国はこの法案のもたらすリスクを考えていないのだろうか。
 まず考えられるのは「OECDを脱退する気か」である。ちょっと大げさかな。でも個人情報を取り扱うものである以上、OECDのプライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに照らしてその取り扱いが適正か?という疑問は湧くのだ。
 次は、今からでも韓国に投資して利益を上げると、この国は「反民族行為」として法律で取り締まり始めるのではないかと思わせるところである。まあ60年後なら特に気にしないという話はあるが。
 最後に反民族行為の範囲である。結局日本に協力して同国人をいじめた人間を対象としている。では他のアジア人への侵略行為はどうなんだ。大日本帝国に荷担した罪は?強制されたのだから仕方ないというならば、上記のような反民族行為も強制されて仕方なくやったというのだと言い訳させてやるべきではないか?そりゃ言い訳するわけないわな。該当者はもう墓の中。
 なるほど、それで60年待ったのか。対象者が死んでいればOECDのガイドラインに抵触する恐れもない。うう、まいった。  なら問題となるのは「個人データの処理に係る個人の保護及びその自由な流通に関する欧州議会及びEU理事会指令」への抵触の問題くらいだな。たとえば、韓国で発行されたクレジットカードをEUで使おうとしても、認証のための個人情報をEU諸国から韓国に送れないので結果として使えない。

 もちろん最大の問題は別にある。冒頭にあげた個々人たちへの不快感を「韓国人全体への不快感」にエスカレーションさせる言い訳をつくってしまったことだ。折角在日コリアン問題を日本人が正面から捉え始めたところなのに、まあタイミングの悪いこと。

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