おジャ魔女どれみは、小学校5年生の時、魔女界経由でニューヨークに行った。社会問題ネタ、目次へ
このとき、言葉も通じない、USドルも持っていない、でもお腹減ったという大ピンチに見舞われた。運良くお祭りをやっていたので、ステージで演奏してギャラとしてピザをもらった。これを見た子どもたちは、海外渡航の基本的注意事項を知った。
魔法が使えるとはいえ、安易に魔法で英語をしゃべったり、魔法で食べ物を出したりしなかった。なんと正常な感覚であろう。(おジャ魔女どれみが本質的に魔女漫画ではないというのはこの辺にも現れている。ストーリーにスピード感を持たせるために魔法を使っているのである。問題が生じても、プロデューサーの意向とは異なり魔法で解決せず、自身で解決している。)突然こんな事を言うのは、イラクで人質をやっていた3人の感覚があまりにひどいからである。感覚がずれているどころか不自然とみなされ、結果として「自作自演のやらせではないか」という観測まで出ている。(実は私もそう思う。)
ある程度の常識を持った人間であれば、日本政府が自衛隊を撤退させるどころか、人質になった自分すら助けてくれないだろうと考えて、間違っても自作自演はしないだろうが、ここまでアホだとやるかもしれない。私の本音を言えば「なんで助けるのにそこまでやった」である。助けるべき人を今までさんざん見捨ててきた日本政府が。
例えば中国天安門事件。他の国は留学生をちゃんと迎えに来たが、日本政府は自己責任で帰ってくることを当然視した。イラン×イラク戦争。期限以後イラク上空を飛ぶ飛行機は撃墜するというフセイン大統領の声明に、他の国は急いで救援機を飛ばしたが、日本は飛ばさなかった。トルコが助けてくれなかったらどうなっていたか。(だから私はトルコ語で「日本人を助けてくれてありがとう」という言い回しだけは覚えたい。誰か教えて。)
だから、なんで自己責任で行った三人を助けるんだ!不公平じゃないか!と思うわけだ。ただし同国人の生命を守るのはいいことだから文句はいえんがな。それにアントニオ猪木が湾岸戦争時、イラクの人質を助けに行ったという前例もある。(世紀の凡戦といわれたアリ戦は重要だったのだ。世界のアリと闘ったゆえに、猪木は世界中どこでも通用するネームバリューを獲得した。だからフセイン大統領が人質を帰してくれたのかもしれない。)ひょっとして彼らは前例として都合のいいものだけ覚えていたのかもしれない。ダッカ事件とかいう奴である。テロリストの要求に応じて身代金を払い、犯罪者を釈放した。でも、ほぼ同時期に起きたシュライヤー事件は、全く覚えていなかったようだ。(これは一般マスコミにも言える。)
この事件、1977年にテロリストが西ドイツの経団連会長に当たるシュライヤー氏を誘拐。人質として服役中のテロリスト4人の釈放を要求した。西ドイツ政府は要求を断固拒否。特殊部隊を動員して、誘拐犯3人を殺した。また服役中の4人が獄中で自殺したと発表。報復としてシュライヤー氏は殺され、さらに誘拐犯3人が殺された事への報復としてルフトハンザの旅客機を3機撃墜すると声明。これに対し西ドイツはルフトハンザ機の離着陸経路を都市上空に設定、地上からの撃墜ができないようにした。結局誘拐犯グループはルフトハンザの撃墜を断念。シュライヤー氏は殺されたが秩序は保たれた。シュライヤー氏は国葬に。ダッカ事件とほぼ同時期であるが、日本政府と西ドイツ政府の対応はあまりに対照的であった。確かに獄中の4人が自殺するという不自然きわまりない発表は非難を浴びた。しかし、筋は通った。だから人々は協力した(私も学校の上空をルフトハンザ機が飛ぶ音をがまんした)。そして秩序は保たれた。
結果としてみればイラク人質事件、だれも傷つかず終わった。万々歳である。しかし筋が通っていない。分かりやすく言えば、だれも傷つかず終わった故に、結局リスクがなかったかのように見える。少なくとも人質の三人はそう思っているように見える。(西ドイツでは罪のないシュライヤー氏は殺されたが、テロリストも皆殺しである。再発に対する強い抑止が働いている。)
だから私は自己責任で帰っておいでと言ったのだ。本物のボランティアなら、武装勢力のうちのけが人を看病して情を移させ、釈放してもらえ。本物の市民運動家なら自分は合衆国の非道を訴える証拠探しに来たんだと説明して釈放してもらえ。本物のジャーナリストならみんなの声を日本人に伝えるからと説得して釈放してもらえ。
少なくとも、犯人と直接交渉できる立場にみなさんはいたんだから。
結局自己責任で帰ってこれなかった以上、皆さんがこれから訴えなければならないのは自衛隊撤退ではなく、
民間人の撤退
であろう。
これが筋だ。人質事件の再発防止を考えるなら、まずは民間人撤退を呼びかけることである。(それは救出された3人の義務だと思う。)
そして我々は人質事件ぐらいで自衛隊派遣という(一応)国論がびくともしない>人質で揺さぶりをかけても無駄だ、ということを証明しなければならない。従って私は安全保障上自衛隊派遣賛成に回らざるを得なくなってしまったのだ。
小泉首相も支持することにした。解放された後「またイラクに行きたい」とのたまわった元人質のみなさんに対し、「まだそう言うことをいうのか、自覚を持て」というセリフが良かった。少し感動したので、「変に権利だ義務だ責任だ、と物わかりの良さそうなことを言わず『自覚を持て』と叱ったのは、忘れかけていた父親のあるべき姿。私もそういう父親になりたい」と言うことにした。つまり「自衛隊撤退」の要求で人質事件を起こしたのは「裏目」に出てしまったということだ。(というか裏目に出たのだということを証明しなければならない。)
自衛隊派遣は必要な法整備もされぬまま強行された。これがいいことだとは思わない。しかし自衛隊を批判するNGOの論調も疑問がある。
例えばNGOなら6000〜7000万円で10万人に1年間安全な水を供給できるのだそうだ(出来ると言っているだけで実績ではない)。おお、一人あたり年間700円。一日あたり2円弱。これはすごい。水の少ない砂漠の国でこれだろ。それほどの技術を持っているのならこの倍出すから日本の水道局の運営をやってくれ。日本は水は豊富だし、設備や運搬時の警備も不要だからコストはさらに安く利益率は圧倒的に高くなるはずだ。その利益でイラクへの水供給をやってくれ。ならば我々も水を使いながらイラクの人々に貢献できる。もっとも、適当に国論が割れていたほうがいいのかもしれない。ならばテロリストはもう少し揺さぶりをかけようかと自己責任で行った人を順番に誘拐する、その間は日本本土でのテロは行わないかもしれない。政府や外務省には気の毒だが、この方が望ましいと・・・あんたらは思ってるんですか>人質三人組。およびその支持者。