レジ袋による顧客囲い込み

 スーパーやコンビニなどでくれるレジ袋を有料化しようとする動きがあるようだ。
 例によっていろいろ意見が出ているが、聞いているとフラストレーションがふらふらとたまってくる。

 ようするにキーワードはリサイクル。細かくは「レジ袋リサイクル費用がかさむのでそれを消費者に負担してほしい」という要望に見えたり、「地球温暖化防止のために袋は持参しましょう」という主張に見えたり一定しない。

 だから、レジ袋有料化は顧客囲い込みのマーケティング手段というのがホンネなんでしょ、と突っ込みを入れたくなるのだ。

 昭和の時代、割烹着を着たおかあさんたちは、買い物かごを下げていた。いつの間にかレジ袋になった。なぜか。スーパーマーケットが登場したからである。
 それまでは、お肉屋さんや八百屋さんを回って買い物をしていた。少量ずつ買っていたから、それらを納める買い物かごが必要だったわけだ。また(特に肉屋では)カウンター越しの取引だったわけだから、商品の精算がどれについて行われたかが極めて明瞭だったわけだ。店の中も見通しが良かったし。
 が、スーパーが出来て困ったことが起こった。「買い物かごを持ち込んでは、そこに詰められている商品が、清算前か後か、すぐには判別できなくなった。」というわけでレジ袋が導入され「ロゴの入ったレジ袋に納められた商品は、その商店で購入されたものであることを示す」というささやかなセキュリティ施策が実現したわけである。

 なわけで、各商店のロゴ入りレジ袋を数多く抱える買い物スタイルが発生し、定着した。
 ここで、レジ袋有料化、となると「レジ袋をあちこちで購入するのは勿体ない」が「別の店で買ったレジ袋(ないし持参してきたレジ袋)に、その店で購入した(実際は購入したのかどうか外観上分からない)商品を詰め込むことは抵抗がある」というジレンマに悩むことになる。レジ袋に入っていることが他店で購入済みであることを示す、というセキュリティ施策を崩すようなことは出来ない。
 解決策は「全ての買い物を一つの店で済ませること」。ならば「万引きしとるんちゃうか」という疑いの目を向けられずに済む。

 というわけで、レジ袋が有料化すると一つの店で全部の買い物をやろうという誘因が働くわけである。そのための条件は、全ての買い物が一つのレジで精算が済む、ことであるが、スーパーマーケットの大型化により、その条件は揃ってきている。
 そんなわけで大手になると、他の店に持ち込みにくくなるようなレジ袋(新世代買い物かご)を発売している。フタがついているのがセキュリティ意識だろうか。

 まあ、そのうち、商品にタグが付いて、個別商品毎に、精算済みかどうか記録できるというユビキタスコンピューティングになって、レジ袋や、フタ付き買い物かごというセキュリティ設備に頼らずとも、購入済みである事実が、判別できるようになり、問題が無くなるかもしれないが、それは少し先の話。
 というわけで、商品タグを統一化すると各店共通の万引き防止ゲートがおけるようになり、標準を握ったところに莫大な利益が・・・。

 いずれにせよ嫌な構造だ。標準となると公共財である。公共財の提供にライセンス料をとるというのは特許法の精神に反している。
 だからレジ袋は有料化してもいいが、標準技術のライセンス料は無料化しよう。ICタグの生産で十分利益は得られるだろう。これを構造改革の目玉に・・・。

社会問題ネタ、目次
ホーム