緊急連絡網

 個人情報保護法のおかげで緊急連絡網が作れなくなった。正確には作っても問題はないが、紛失・盗難による情報漏洩のリスクを回避できないので作らないという判断が妥当になった。

 なんとかしろ、という無言のプレッシャーを受けた私は、ちょこっと考えて「メーリングリストでも作ったら?」これなら持ち歩くのはアドレス一個。個人情報ではない。漏れてしまってもたいしたことはない。
 今までもgooやYahooの無料メーリングリストを使ってインフォーマルな連絡網を作ろうとしたことはあったのだ。通勤路線別にメーリングリストを起こして「人身事故で振替輸送」という場合は、最初に知った人が投稿するのだ。だからどうということはないが、複数の人が同じところでイライラすることは防げる。なんぞの時には緩いながらも培われたチームワークがものを言うかもしれない。

 ところが今回は「緊急連絡網」である。ビジネスユースの緊急連絡網となると活躍するのは「災害時」だろう。無料メーリングリストサービスなんかは最初に停止される恐れがある。というわけでメーリングリストは「自前で構築」しなければならなさそうになった。で、社内メーリングリストの所管に聞いてみる。そうですよね。想定しているのは平時ですよね。

 では外部に委託できないか。学校用の緊急連絡網サービスプリメールというのがあった。確かに個人情報は秘匿できる。バックアップもそれなりに考えている。流す先のグルーピングも出来る。受信確認機能をインターネットメールのプロトコル外でつけるという発想は僕にもなかった。大したものだ(携帯の機種が限定されるような気はする)。が、そこは「今日の運動会は雨天のため明日に・・・」をサポートしたものである。緊急連絡網に流す情報を審級する人がいるなどはいいとして、受信者登録は空メールでオッケー。おい、無関係の人が登録できてしまうじゃないか。で、緊急メールと一緒に広告を流します。うーん。
(しかし、広告をつけるという発想は月並みだが気に入った。先ほどの「人身事故で振替輸送」メーリングリストの広告に、ターミナル周辺のビアホールの広告や、振替対象先路線乗り継ぎ駅近辺の商店の広告を入れればヒット率はめちゃくちゃ高そうだ。ただし発生数が限られているのでコンスタントな広告収入を得るのは無理だろう。なお、運休情報は例えばここにあるが《この情報を無断転載、複写または電磁媒体等に加工することを禁じます》と注意書きがされている。公共交通機関がサービスを停止したという情報を無断で広めるな、というのは勝手な言い分ではあるが無視するわけにはいかない。まてよ、JRが独自にサービスを立ち上げるつもりなのかな?是非プリメールを売り込んでほしいモノだ。)

 プリメールの発想自体は悪くないし、むしろよく考えていると思う。僕が付け加えることはほとんどないくらいだ。でもどうせなら学校じゃなく企業を相手にしてソフトを提供する気はないのかねえ。あと必要なのはオフサイトバックアップなのだ。ハードを販売し、ソフトをインストールし災害の少ないところ(北九州あたりかなあ)に設置して電源供給、ハードウェア監視、パッチ適用レベルの運用を請け負う。(これはデータを預かるより、運用を預かる方が情報管理の取り決めは楽かなあ、という直感による。つまりメーリングリストのメンテは各企業にリモートでやって頂く。DBの中身は暗号化する。暗号化キーを運用側は知らない。)
 あとは携帯電話のメール網が切れたときのために、例えば伝言ダイヤルに合成音声を吹き込むという機能を追加することを考えた方がいいかもしれないな。

社会問題ネタ、目次
ホーム