実はみんなに愛されていた自民党

 商品相場の値上がりを「投機資金が戻ってきた」と歓迎する向きが、例えば日経新聞にはあるようだが、また原油がどーんと値上がりして、あちこちおかしくなったほうがいいのかねえ。私は「運用難」を「カネ余り」と表現した日経新聞のセンスにバブルの形成と崩壊の責任の一端があると思っているから、今度は誠実に書いてほしいな。いつもいい記事を載せているサッカー担当を見習え。できれば阿刀田さんに編集長をやってもらいたい。

 日本の株式市場の値上がりについては「アメリカが値上がりしているので」という分かりやすい説明もあるが、もっと合理的な説明もあった。「第二次朝鮮戦争関連株」である。
 このまま北朝鮮の暴走が収まらず、休戦破棄!となれば、朝鮮特需に沸く可能性は高い。かといって日用品は中国が生産してくれるだろうから、日本としてはうまみが少ない。ならばと武器輸出三原則の見直し論がこのタイミングで出てくるのも納得がいく。
 前回は国連の制裁決議に反対した中国も「国内産業が回復するなら」と賛成に回るだろう。世界的に「朝鮮戦争の再開」を心待ちにする声にならない声が蔓延しているのでは、と想像。

 で、周りで戦争が始まると、現政権の支持率も上がる。ということで次の選挙も自民党の勝ち!その辺で(理由はともあれ)景気も回復基調、万々歳となるのだろうなあ。
 当方は自民党を愛するがゆえ//イラクの人質事件以来政権支持に回らざるを得なくなった//じわじわと腐ってゆく自民党を見ていられない(小泉元首相は「壊す」といったが、「腐る」であろう)。この辺でタガを締めなおす意味で一度だけ政権交代を、と考えてはいるが、仕方ないねえ。
 もっとも、心ひそかに自民党を愛しているのは民主党の皆さんも一緒で、口ではいろいろ言っているが解散総選挙に追い込む気はないようだし、議員の世襲に反対する気もないらしい。
 前回の衆院選は「郵政民営化の国民投票だ」ということで、反対の人間は自民党の公認を出さないことまでした。代議員制をなんだと思っているようなことだし、少なくとも政党法を停止してからやれよ、と思うような話であったが、国民投票法がない以上、このような超法規的措置もやむをえなかったというなら理解は出来る。
 ならば、郵政民営化法案が可決されたところで解散だったはずだし、国民投票法が出来たところで大義名分を失っていたはずだし、いくらなんでも日本郵政ができたところでは存在意義がなくなってはずだ。
 でも民主党はつっこまなかった。それどころか会期延長に反対する理由として「郵政民営化の是非のみを問うてできた議会で、それ以外の法案を審議するのに、わざわざ会期を延長する理由はない。会期延長なら解散だろう。その間、参議院で審議すればよい。」とマトモなことを言わなかった。要するに奴らやる気がないのである。僕の考え変かなあ?参議院を延長して、衆議院解散というのは法的に無理なのかもしれんが。

 自民党が世襲制制限を繰り延べる理由にも突っ込まないのは謎だ。次の選挙には間に合わないから次の次?えーと郵政解散で直前に公認を取りやめた時に「間に合わないから」と見合わせたっけ?彼らはいままで自民党議員としてがんばったという実績があるのにだよ。だから小泉チャイルドは、公認辞退すべきだろう。何の実績もない、ただ息子というだけで公認というのは、やはり理解しがたいところがあるのだ。まずは県議会議員選挙くらいからはじめてはどうだろう。そこで実績を積めば、今度は堂々と公認してもらえばいい。
 合衆国では州知事から大統領へ、つまり小から大へ、というルートが確立しているが、日本では例えば地方議員から国会議員へ、のルートが貧弱である。だから国会議員世襲が幅を利かせる。このへんも問題ではないか。自民党をぶっ壊した、つまり派閥や族議員を干上がらせてその中で政治家を育てるルートをつぶしてしまった小泉元首相の息子ならば、地方議会から国政を担える政治家を育てるというルートを自ら作って自民党を再生させるくらいの自覚は持ってほしいものである。

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