酸素不足回避のススメ

 ハルヒの父親が死亡したという説を(多分唯一)唱えている当方であるが、死因も想像できなくはない。舞台が神戸方面ということで、阪神工業地帯のガスタンク内の酸欠で死亡したのだろうと勝手に思っている。これについては完全に根拠がない。
 わざわざ書くなって?すみません、無理やりな導入部です。

 タンクの中でとか穴の中で「酸欠で死亡」という話をたまに聞く、なんでそんなに多いのだろう、酸欠になるまで脱出しないなんていったいどんな大きな穴だ、と感想を持ったことがあるが、詳しい人に話を聞いて分かった。
 人間には酸欠に対してアラームを出す機能がないらしい。

 つまり、あと一段はしごを上れば助かる状態であっても、酸素がないのでただ力が入らないらしい。二酸化炭素過剰に対するアラーム機能はあるのに、そういうものだそうだ。酸素がなくても息を吸って/吐いては普通にできる。だから安心している。ところが肺や血中の酸素は次第次第になくなってくる。なすすべがなくなったとき、初めて「動けない」事に気がつく。残酷である。せめて苦しまないでいてほしかったなと思う。

 私は大まかな意味でリスク管理の仕事をやることが多いが、他人と視点が微妙にずれるのはこの「酸素がないのアラームを人間が出せない」ことに衝撃を受けたのが結構大きい。リスク管理と言うと皆さんつい「二酸化炭素」のほうを気にしてしまう。つまり「想定外の悪いもの」がいたらどうするかを気にしてしまう。が私は「酸素が取れるか/酸素が残っているか」を気にはさむ。「当然あると想定している必要なものが本当に入手できるか/あると思っているものが本当にあるのか」である。後で内心感謝されているはずなんだけどなあ。「気がつかなかったんですが、教えてもらって」なんて言えないよなあ。

 もっとも、酸素不足を懸念する考えは一度社会の表面に出てきたことがある。2000年問題のときである。社会が機能不全に陥ったとき、どれだけの取引先が健在で、どれだけの処理能力が確保できれば業務は継続できるか?という問いかけがなされた。残念ながら定着することはなかった。なにしろ鳥インフルエンザが明日にでも発生するかと「識者」が騒いだが、そのときに2000年問題のファイルが再度引き出された、ということは無かったようだからなあ。

 まあ、実際問題として酸素不足対策と二酸化炭素過剰対策は似たように見えるかもしれない。僕も対策のときにいちいち切り分けてやっていることはない。確かにパソコンの管理で「機種によってバッテリーが危ないものがある」なら該当機種を洗い出して、対象全員にメールを打つという(大変な)手間を掛ける。これは「使えなくなる」リスクに対しての場合もあるし、「火を吹く」という異常事態を避けるためなのか自分でも分からない。(ただし全員にピンポイントで調査・報告依頼メールを送ると、対象者は嫌でも気がついてくれるのでリスク回避は実に早い。しかも対象外の人に「対象かどうか自分で調べて」なんて手間をかけさせないので、ほとんどの人に問題を意識させずに終わる。何も起こらないってこういうことなんだ。すごいことだろう。)

 が、気にしておかないといけないのは、日本経済がおかしくなって、さらに途上国の製品に頼るようになって、酸素の供給サドンデスのリスクが高まったということ(直近に起こったのは中国産レアアースだ)。だから気にしなければいけない。ところがこの状況を二酸化炭素過剰リスク対策の視点で捉えると「慎重な対応」になってしまうんだね。特に「見たくない現実」が絡む場合。

 典型的にはこんな対応になる。「問題がある?本当かどうか確認しろ。」本当に起こっているんだけどね。まあ見たくないから先延ばしにするわけだ。「石橋を叩いて渡る」慎重さと言えば聞こえはいいが、何度も叩いているうちに「石橋を叩いて壊す」になってしまう。さて、この判断短期的には正しい。原因は何であれ石橋は壊れたんだ。渡らなくて正解、とこうなる。
 ところがやがて気がつく。石橋を全部壊して島の中に閉じ込められたことを。石橋を渡るかどうか「慎重に対応」しているうちに、石橋を渡る力が無くなってしまったことを。もはや酸欠で死ぬしかない。(ちなみに、こっそり船を調達して係留しておくのが当方の趣味である。たまに丸木橋を渡していたりする。平衡感覚が鈍い奴が通れないのは仕方がないと思うんだけどなあ。)

 極端ないいかたかもね。でも国家レベルでこうなっているよ。企業と違って国家なら「先送り」ができるから目立たないけど。確認しろ!本当に大変なのか!と問題を先送りしているうちに選択肢がどんどん狭まる。そのうち選択肢がなくなる。(累積された赤字国債をどうるすんだ。)

 民主党も次の選挙で負けるのは確実なんだから、それを前提に「今対処しなければならないことをやる。国民にも相当の負担はしょってもらう。次の選挙で負けたとしても、百年後にあの時の総理の決断で日本はどん底まで往かずに済んだんだ、と評価してもらえればそれに勝る栄誉はない。」くらい言ってくれよ。かっこよすぎてしびれるぜ。
 一歩先に破綻した夕張市では、負担増・行政サービス低下を住民は受け入れた。一人ひとりが何とかしようと高校生が修学旅行先でメロンを売っている。なぜ国家レベルで国民はそうできないかね。

 あ、もちろん無策だった奴らに責任は取らせるのよ。つまり・・・これをやると、、、民主党は。。。政権党だったときの自民党を!!!糾弾できてしまう???鳩山一人の首で自民党を合法的に潰せるんだからおいしいおいしい。

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