私も指摘した「マルビナスは我が領土」、2014年のワールドカップを契機に再度フォークランド紛争が勃発するという可能性。やはり現地では深刻な問題となっているようだ。社会問題ネタ、目次へ
マルビナス(フォークランド)の自治政府はイギリスとアルゼンチン、どちらに帰属するかで住民投票を行うとか。何の法的根拠もないが、まあ意思表示にはなる。
おそらく圧倒的多数でイギリス帰属が決まりそうなだけに、アルゼンチン政府も内心穏やかではなくて「住民投票は茶番だ」という言い方をしているらしい。
地球の裏側くらい離れて見ている当方としては、多少は冷静になれて「果たして住民の意思くらいで国家への帰属が決まるのかしら」さらに突き詰めては「人間は生まれながらにして国籍選択の自由を持っているのかしら」である。残念ながらない。
人類は人権を発明したが、国家の枠を自由に行き来する権利を発明していない。理由は簡単だ。搾取の枠組みとして必要な「国と地域」を崩すわけには行かないからだ。しかし、今回のマルビナス(フォークランド)帰属問題で住民投票がある程度の効力を持ってくると話は違ってくる。少なくともイギリスが認めると大きい。
これを受けてビルマの住民投票をアウンサンスーチーが主導し「ビルマはイギリスに帰属する」の採択がなされればどうなるだろう。元々イギリスの植民地。かつアウンサンスーチーはイギリスで教育を受け、そして民衆を率いてきたわけだから、そういう住民投票結果をイギリスは拒めない。そちら方面への飛び火を恐れれば、イギリスはフォークランド(マルビナス)の住民投票をさせてはいけないわけだ。頑張れMI6!(どうしてもMI6と言ってしまう。)それにしてもフォークランド(マルビナス)自治政府の皆さんに「独立」という選択肢は頭にないのでしょうか。
それを考えると日本では「軍事政権」とだけ説明されている現ミャンマー政権は民族の独立と誇りを考えているだけマシなのかもしれません。同様にインド・パキスタンのどちらに帰属するか曖昧なママ放置されて、中国までもちょっかいを出して一部占領しているカシミール地方についても住民投票すればどうなるか興味がある。これもイギリス植民地経営の後始末不備(わざと紛争の種を残したという話ですが)の解決のためだからイギリス主導で住民投票というのも悪くはない策だ。パキスタン核廃絶の国連決議よりも効果があると思うよ。結局皆さん「イギリスに帰属したい」だったりして。
ビルマにせよカシミールにせよ、戦前であれば「植民地支配する口実ができた」と大喜びであったろうが、現代は先程の「人権」というのがあって、イギリス人としての待遇を与えなければならない。しかし、それをやると治安維持活動に加えての社会福祉でイギリスの財政は破綻すると思う。だからフォークランド(マルビナス)で住民が自主的に投票したとしても、影響を考えると女王様は優雅に無視しなければならないのだ。旧宗主国は辛いね。もっとも「ヨーロッパ大陸にないから」という理由でEU共通の労働者保護基準を適用する必要はないかもしれないが。
そしてもう一つ大きな、避けられない問題がある。
香港島はその周辺をシナに返還するという契約を履行する際、なぜか同時に中華人民共和国の一部にされてしまったが、これは住民の皆さん納得しているのだろうか。住民投票をすべきではなかったのだろうか。フォークランド(マルビナス)の住民投票に何らかの効力を認めるとすれば、今からでも香港島民の皆さんの意思を確認すべきではなかろうか。ひょっとして彼らは自らの意志に反してイギリス人から中国人にされてしまったままなのかもしれないのだ。これは「イギリス人」の人権を尊重していることを示すためには必要なことではなかろうか。というわけで住民投票の結果、香港はイギリス領に戻る、と。ん?封鎖がなんだって?ベルリン空輸してでも維持しなさい。フォークランド(マルビナス)ならためらわずやるんでしょ。