強欲も度が過ぎると・・・「版権」の問題

 珍しく頭を使うことが会社で許可されたので、いろいろと調べてみた。
途中知った衝撃の事実。
「出版社のもつ版権は紙での出版の権利だけであり、ディジタル版権は持っていない。」
つまり電子書籍を出版社が出すことが出来ない、ということである。もちろん別途ディジタル版権買い取り契約を結べばいいのだが。

 なんでまたそんなことに。音楽の世界ではLPからCDへの移行はスムーズにすすんだのになあ、と思ったところで例によって数秒。あ、分かった。音楽の場合は「録音」しなければダメ。その際の録音機材と場所をレコード会社が提供しているから、マスターテープは完全にレコード会社のもの。どうしようがそれはレコード会社の裁量に任される。当然量子化してCDに焼くのも可。しかし作家が渡したのは原稿用紙に書かれたもの。つまりマスターテープに当たるものは作家のものであり、出版社はそれを紙の形態に加工して出版する権利しか買い取っていないということなんだろう。

 ここで著作権についてJASRACが異常に強い権力を持ち、作家が弱い理由が分かった。圧力団体としての規模の差だ。JASRACは楽曲の構成要素である「歌詞」すら「引用はまかりならん」であるが、文学的にははるかに高度であるはずの小説は、出展を明記すれば引用可、である。これは文句を言うJASRACが作家個々人よりはるかに強いからだろうね。

 んでもって出版物の電子化権が出版社にないとすれば、
「自炊してネットに上げても出版社に文句を言われる筋合いはない」
のです。少なくともタイプしてネットに上げても、それは電子化されたものだから出版社に文句を言われる筋合いはない。もちろん作家には文句言われるけど、いちいち目くじら立てるわけには行かないでしょ。
 かくして取り扱いの微妙な問題が一つできた。
「歌詞カードをリタイプしてネットに上げる分は、JASRACが文句を言えないんじゃないかな?」
 それは「禁止されています」とイイタイだろうけど、作詞者から文句を言われるのは覚悟のうえだけど、JASRAC相手に限ればオケオケオッケー、ですな。

 まあJASRACの強欲はとどまるところを知らないので、そろそろ「おいたがすぎますよ」をやらんといかんね。(義憤)。
 「私的複製に供される複製機能のあるものはすべて対象」として、コピー機やハードディスクにも課徴金をとろうとしております。
 どうやら、ディジタル放送になって、コピーが出来なくなったのでビデオデッキに課されていた私的録画補償金が2013年度、ゼロになったので他からとろうとしているようなのよね。(ということは、録画補償金を払っている限り、コピーは許されていたはずなのだ)。
 第一、録画補償金を放送局その他に分配しなくてよくなったわけだから、補償金がゼロになっても全然問題なしなのだが、どうしてもっと欲しいのだろう。
 裏で山分けしていたとしか思えませんな。
 というわけで、JASRACその他は「録画補償金をどう分配しているか」を(ついでに著作権料もどう分配しているかを)ガラス張りにして発表しなければ理解が得られるわけがない、のです。そんなことも分からないとは。

 まあガラス張りになったらなったで
「うちの会社のコピー機、全コピー○枚中、社内文書を△枚コピーしましたので、相当分の私的複製課徴金を還元してください」と請求するところが無きにしも非ず。「組合員だけが分配の対象です」となると今度は独占禁止法裁判の方に影響する。

 この対応が連中に出来るとは思えないがどうだろう。

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