父親が最初に赴任した地は山間部であった。社会問題ネタ、目次へ
そこで聞かれたらしい。「先生、なにつくったら儲かるんや」。
この地の雨温図を見て甲府盆地に似ていることに気づいた父親
「ブトウ作ったらいいんじゃないか」
一人だけ、本気にしてくれた人がいた。
翌年びっくりするほどたくさん実った。
以後ブドウは村の主産物に。
ただね。甲府盆地よりわずかに気温が高いらしい。たくさんとれて実に糖度が高いがその分日持ちしない。だから大消費地に出荷するにはハードルが高くて、いま一つお金にならないとか。さて、地球温暖化。彼らの主張が正しいとすれば、甲府盆地の気温は上がっているはずである。つまり「甘くなりすぎて日持ちしなくなった」はずである。東京への距離が近いという一大メリットはあるが、かなり厳しくなっているはずである。だいいち味が変わった。でも誰も何も言わないよ。えっ?
越後村上塩引き鮭。あの気候でしか作れないギリギリの味。ということなのだが、温暖化で低温発酵のバランスが狂いはすまいか。人ごとながら心配である。
しかし、生産者側は誰も何も言わない。つまり、温暖化で特産物に変化は出ていないということだ。なんだ、周りが騒いでいるだけなんだ。
北海航路は実用的になっているし、メリットも含めてなんらかの変化は起こっているはずなのだが。生物の適応力というのは、その味も含めて変化に適応できるという、たいしたものであるらしい。