同窓会でよくあるのかな、ちょっぴり胸の痛い甘酸っぱいはなし
「実は好きだったよ」「え、なんで言ってくれなかったの、こっちだって」。そういうことがあった人は、あのとき勇気を出していれば、きっと楽しい高校生活が、って悔恨にとらわれちゃうかもしれない。過ぎたことはどうしようもないが、未来ある青少年のために少しでも力になりたいと思った。
「断られるのが怖い」もあるのだろうが、そこは勇気。これはお友達の方々、相互に焚きつけ合いましょう。
「はずかしい」のは気合で乗り切ろう。
え、お前らしくなく精神論で突ききる気かって?いえいえ、これからです。「告白」はいいんだよ。問題はそのあとだ。失敗して彼女と以後気まずくなるのも十分なリスクだけど、成功したとして、じゃあそれから何をするのか?これはきちんと想定しうるものなのか。
たしか「生徒会の一存」にあったギャグだが
「先輩、好きです」
「じゃあ付き合おうか」
「いえ、私はただ告白したかっただけなんです」
こんなのを別として、次には「付き合う」と呼ばれる過程がありそうだ。
でも、付き合うってなんだ?具体的にはどういうことなのか、実はわからないまま告白するのは不安でたまるまい。ついさっきまで他人だった2人の意識があっているとは考えにくい。
告白した側は一緒に散歩して彼氏と一緒ならではの得られない落ち着きを得たいだけかもしれない。もちろんこれも「付き合う」だ。ところが告白を受け入れてもらった途端「じゃあ付き合って」とホテル方面に引っ張られても自分から言い出した以上、今一つ文句は言いにくい。かくして「付き合う」という言葉に十把ひとからげに詰め込まれている、告白後に要求する状態を分離して、自分は相手に何を要求しているか、を明確化し、男女間の意識の統一を図るガイドラインをつくることが必要ではなかろうか、とまあこう考えた次第だ。
「お願い、やらせて」もあるし「カッコいいから一緒に歩いて見せびらかしたい」なんてのもおかしくないし、「スポーツ観戦に一緒に行って解説してくれるとうれしいかな」さらには「勉強教えて」といった打算的なものがあっても不自然ではない。かなり直情径行な私としてはこの辺のバリエーションを想像するのが難しい。だから自力でガイドラインは作れない。さらに年齢とともにこのバリエーションも変わってくるだろう。適齢期になると「一生飯を作ってくれないか」とか(古典的)。こうなるともうお手上げである。
こういうバリエーションを明確化するといいことがもう一つあって「棲み分け」ができる。ちょっとあれな例だが、彼氏持ちらしき人が好きだったとする。あえて告白する。もちろん返事は色よいものではない。ただしこれならあるかもしれない。「あなたの要求には応じられないけど、勉強教えてくれるならその間一緒にいてもいいよ」。なんとも色気のない回答だ。人によっては屈辱を感じるかもしれん。しかしそこは惚れたもんの「強み」。アピールの機会は与えてくれたんだ。よし図書館限定でも最高の彼氏になってやる、そしてきっと俺がNo1に。
やっぱりカッコ悪いですか?ではちょっと言い方を変えよう。「今はあなたの要求には応じられないけど、でも甲子園に連れて行ってほしい。その時は思い切り大声で応援するね」。残念な答えには違いないけど、野球をやっている自分に多少なりとも自信があるなら毎日の素振りを10回増やそうという気にはなれないかな?励みにはなるだろ。今までなら「失敗」だったはずの告白がバリエーションの明確化によって自分を高める動力になるんだ。その可能性が増えたと思えば、少しは告白する勇気も出ると思うんだ。
大丈夫、バブルの時代にはアッシー、メッシー、ミツグ君、キープ君、いろいろバリエーションがあったそうなんだ。もちろん「アッシー君になって」なんて言えませんでしょうが、アッシー君という立場でも納得して車を運転していた人が・・・ホントにいたのかなあ。この「付き合う」という言葉のあいまいさをなくして話を進めやすくするというの、突拍子もない考えに見えたかもしれないけど、でもね、すでに存在する傾向、なんだよ。「恋活」とか「婚活」とか。あれは何の結果を求めているかを明示することによって、参加者が動きやすくなった、ということではないかな。
そんなわけで少子化対策担当大臣は官僚を動かして「告白ガイドライン」を作るべきでしょう。内容は先ほど書いた告白後に何を望むかのバリエーションのほかに、返答する側の「こういう関係であればいい」という妥協点の例。上手な断りかた。告白する側の勇気の持ち方、箸にも棒にもかからなかった時のときの慰めの言葉なんてのも必要になるだろう。(作っている文部科学省の官僚もノリノリだったりして。)多分これがあるとカップル率は増えると思うんだな。ならばそのままゴールイン、もあるだろうし、婚活で辻褄を合わせるとしても、それまで異性と付き合った経験があるとまとまりやすそうだ。すると結果として婚姻率が増えて、当然子供もできやすくなる。ほら、少子化対策になってるでしょ。(古代ローマみたいに子供がいないと出世に不利になる制度なんてのも別の面であると面白いが。)これ聞くと安倍首相が「ピクッ」っとするかもね。選挙制度改革で普通選挙権が18歳以上になりそうだ。この層のカップル率を上げると政治への不満が減って、与党に有利に働く。・・・そんくらい面白いおっさんならもう少しましな政治をするだろうなあ。
発案者として「告白ガイドライン」に採用してほしい「相手への要求事項」が2つある。一つは「思いっきり一緒にいたい」。もう一つは「一緒に大人になろう」。なんか性的な意味に偏って受け取られるような気がするので、そこは優秀な官僚のかた、うまく説明してください。気持ちとしては「いまの自分はとても不完全。でも君と支え合いながらであれば、一緒に弱さを克服して、二人でそこそこ立派な大人になれると思うんだ。だから僕と一緒にいてほしい。」
もう一つマニュアルに書いてほしいこと。告白を受けた時はまずこう答えよう。
「大好きなんてありがとう。」
野球の部分を書いた時に思い出したのが、江口寿史の「すすめ!!パイレーツ」。高校時代の回想シーンなのだが、珍しくシリアスなストーリー。後輩の女の子にコクった答えが「次の試合、全打席ホームラン打ったらあなたの気持ち信じてあげる」。(付き合ってあげるではない)。そこで夕暮れの校庭、一人でバット振り続けるんだな。いよいよ試合。結局そういう結果になるのだが、江口寿史の「筆力」に感心した。いきなり「すでに2本のホームランを放っている・・・」そこで解説者に喋らせる「温存していたエースを出してきましたね」。ここでホームランが打てたのは控え投手だったからだ、と合理的な理由が付く。3本目は「出会いがしらをやられた」と言い訳が立つ。社会問題ネタ、目次へ
しかーし、最終打席、ここはギャグ漫画とはいえシリアス路線で突っ張ってほしかった。スタンドには届かない。しかしランニングホームランも狙える大飛球。しかし無理な本塁突入を止め、勝つために三塁に留まる。男意気を感じた次打者は日ごろの目立とう精神を返上してスクイズ。すかさずウェストボール。飛びつく。外された、しかしキャッチャーもとれない。サヨナラのホームベースの上で男泣き。ここで回想は終わり。
「で、結局付き合いはじめたんですか?」「ええ、フェンスを超えなくてもホームに走って帰ってきたらランニングホームランって言うんでしょ。知ってるわよ。」とウィンク。どうせならここまでやってくれえ。