一票の格差を(原理的に)なくすには

 以前画期的な方法を考案&発表したのですが、そういえばその後の改良版を書いてませんでした。一票の格差の逆数をもって議員の発言権に差をつける、というのが前回のアイディア(2000年11月発表)でしたが、もっとスムーズにしてみました。
 議員の議決権を一人一票ではなくて、議員が選ばれた選挙で得た得票数分持たせればよろしい。要するに議員の発言力に差をつけるのです。

 国会においては憲法56条の解釈を変更する必要はありますが。そんなに無理ともいえません。というのは、憲法に定められている議決は「出席議員の過半数」という言いかたであって、出席議員の(頭数の)過半数という言い方はされてないからです。従来は、議員の過半数を「人数の」過半数と解釈していたが「議決権の」過半数とすると解釈しなおすわけです。九条解釈よりずっと自然です。いえいえ、今でも「議決権の過半数」を解釈されているんですよ。ただし「議決権」は「一人一個」としているわけだ。解釈変更の必要すらない。
 つまり議決権の保有分は法律で定めているわけで(定めてないかも)、それを1人1個から選出された選挙で獲得した得票数に変更するだけです。ストレートでしょ。「一票の格差の逆数」だと選挙が終わって計算することとなり、有権者の「私は何に投票したの?」という割り切れなさを残すおそれがあるし、人為的の感はぬぐえない。代議士は有権者の代表。では何人の代表か?それをわかりやすくする、というだけのこと。

 獲得した得票数、のほかにも、以前挙げた「一票の格差の逆数」とか「選挙区の有権者数分」の議決権という解釈も成り立ちます。おそらくは「選挙区の有権者数」の方が導入そのものはやりやすいでしょう。というのは、アメリカ合衆国の大統領選挙(州ごとに勝つと選挙人総取り)がきわめて近いので「言われてみれば」と抵抗感も少ないでしょう。

 しかしながら、得票率低下に悩む今の日本にとっては、各議員が選挙民の投票意識を刺激し、単に当選するのではなく、票を集めてくる、という観点で選挙運動した方が国民の意識を高めることにつながってよいかと思います。対抗政党の指標を増やすという恣意的な選挙区割り、よく言われる「ゲリマンダー」の抑制につながるというのもメリットです。
 もちろん、投票する側としても、自分の票が国会の議決権に直接反映するということになりますから、気持ちよく投票できます。足を運んだかいがあるというものです。

 票の集計は、それこそかの「木札」にICタグを埋め込んで、一発集計!IT技術の勝利ですね。つまり今までの憲法解釈であった「単に頭数」で過半数を決めるというのは、技術が進歩していなかった時代のやむを得ない措置であったとさえ言えるわけです。今後は一人の国会議員の議決権に得票数という傾斜をつけることも可能となったので、あるべき姿を採用しよう、という主張も成り立つのです。

 ならば、IT技術を使って、例えばデジタルテレビを通して国会中継を見ながら「賛成」「反対」の票を投じることも可能なわけですが、、、NHKが大反対するでしょうね。
 受信料の制度の問題点をつつくのです。現制度は「見てようが見てまいがテレビを持っていたら払え」という形式にされています。となれば「受信料を払っている人にだけ投票権がある」ということになってしまいかねません。
 まちがいなく「それは変だ」となるでしょう。タテマエ上民間会社であるNHKが事実上「テレビ保有税」を徴収している(しかも徴税内容は実質的に民間会社が勝手に決める)現状はいくらなんでもおかしいですから。

 なんですと?過疎地域への配慮を、ですか?大丈夫大丈夫、各委員会の委員長を優先的に任せてもらえますから。得票数、つまり議決権数の多い議員さんを投票権のない議長に割り振るなんてもったいないことしませんわね。

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