下から、させていただきます

 私は「上から目線」という言い方が嫌いだ。
 良いことをしてもらったとしても
「上から目線だ」
という理由を付ければ文句が言えるものだと、言っている本人からは見えるらしい。
 他人に施しを受けるときは、施す方がへりくだるのが当然と思っているようなのだ。
 へんだろそれ。手を煩わせた以上、まずは感謝だろ。だからへりくだって奇跡を起こしていたイエス・キリストでさえ、神への感謝は強要した。
 感謝したくないなら、ます「自分でやります」と手出しを断れよ。受益者になってから「上から目線だ」という言い訳で礼を逸するというのは「親の顔が見たい」と言われてしかるべきのしつけのなってない態度だ。

 ところが言語というのはたいしたもので、「上から目線」に対応する言い回しをしっかりと作ってくれていた。「させていただきます」がそれである。
 もともとは「上から目線だ」と文句を言われないための表現だったかもしれない。が、この表現、すんごい気持ち悪いよね。
 「応援してやろう」という言い回しだと上から目線と文句を言われるかもしれんな。(普通は「よっしゃ、頼んだで」くらいを返すモノだと思うが。)そこで「応援させていただきます」にする。上から目線と文句は言われないよね。でもなんか落ち着かなくないか?ピンとこないかな?
 ではもう少し具体的に「拍手させていただきます(パチパチパチ)。」なんか馬鹿にされたような気になりません?確かに下手に出ているんだよ。でも拍手される方がどうだったか、なんてのとは独立して「自分の意志で勝手にやってます」なんですよ。「意志」だよ「意志」。自覚して冷静に拍手させていただいてるんだよ。「あなたがどう考えようが関係ありません。」自分は下手に出て相手にとっていいであろうことをやっているわけですから、拒否される筋合いはございません。全くもってその通り。
 でもできたら、させていただきます、なんて言い回しをとる余裕綽綽なく、思わず、心から、拍手してください、って思わないかな。

 「上から目線」という言い方を鏡に映すと「させていただきます」になるのであった。
 妙に落ち着いた。

 でも「上から目線」と切り捨てたくなる時は確かにあるな。
 千葉県警のバナー、どっちかつーと犯罪者風のおっさんが

「いいかげんにしろよ。 危険ドラッグに手を出すな!」
 善良な市民を危険ドラッグ患者予備軍とみなしてますのその態度、異を唱えさせていただきます。娘役が「危険ドラッグに手を出さないで!」なら素直に受け止めるのですが。
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