経済制裁の実務

 トランプが次期大統領に決まって、推測での記事、推測でのコメントが相次いでいる。
 安倍首相と気が合いそうだ、態度を軟化させているからそんなに変わらないのではなかろうか、という希望的なものが主流だ。多少推論っぽい記事であっても「ビジネスマンだから」という根拠を出ることはない。せめて「不動産王」だから国内のことしか頭になかった。貿易については経験がないから国際感覚が欠如しているかもしれないとか、バブルの時代の日本企業による不動産買いあさりに恨みがあるのでは、程度のことは調べて書いてほしい。

 しかしながらこの時期だからこそ、いい加減に書き散らかせることもあるというものだ。気になっているのは合衆国お得意の「経済制裁」。いくらトランプがドメスティックだからと言って、経済制裁で海外との貿易を制限すれば国内産業が発展するとは思っておるまい。だからこれをどう持って行くかが気になっている。
 かくして経済制裁は「対象国の経済の循環を阻害する」もの、つまり「対象国が売りたいものを買わず、買いたいものを売らない」とはならず、「合衆国の買いたくないものは買わず、売りたくないものは売らない」という都合に合わせたピンポイントなものに方針転換する可能性がある。

 しかし実際にそれは可能だろうか?可能だとしても経済制裁として発表するにはそぐわないだろう。発表内容がものすごく細かくなるからだ。となれば
「経済制裁として貿易の管理を強化する」
という言い回しを使い、貿易管理会社を設立!して、例えばロシアとの貿易は全部そこで審査する、というやり方がよさそうにおもえる。その都度都度、これは国内で調達しにくいのでOK、これは雇用の流出につながるからダメ、の指示を出すのだ。あるいは全部その会社が卸で売買する、でもよい。後者の方が楽だな。
 というわけで、巨大な利権企業が誕生することになる。それが公企業としてもだ。
 ロシアとアメリカの貿易を独占。なんと甘美な響きだろう。合衆国の資本家もそれでこそトランプを押したかいがあるといえよう。ここで経済制裁として品目とかではなく、「貿易総額」を制限するという分かりやすい手法を導入する!とどうでしょう。貿易会社が自分の都合の良いように貿易額を割り振ることができるわけです。なんとすばらしい。(味を占めた資本家は、今度は中国への「経済制裁」を迫るかもしれない。人権問題で。←こんな大胆なことを言うとりますが、いまのところ謎の中国美女に迫られた経験はありません。)

 まあ、メキシコ国境に壁を築き、費用はメキシコに払わせる、は実現するだろうな。
・入出国管理を厳しくする。比喩的に壁を築くことになる。
・それによる不利益はメキシコが負うことになる。
 特に違和感はない。
 テレビのコメンテーターもせめてこの程度の予測をしてくれれば、少しは耳を傾けようかという気になるのだが。

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