当事者の会社がなくなったくらい昔だが、ある外資系企業が日本でのビジネスを拡大するにあたって、一部の業務を委託できないかという打診をしてきたそうな。社会問題ネタ、目次へ
言われた会社は「当社の○○に対する取り組み」というのをプレゼンしたそうで、その話は当然ポシャった。でもその外資系企業、割と人がいいようだ。断った理由をしっかり教えてくれた。我々は「その業務を引き受けるにはいくらかかる」という答えを聞きたかった。
それを聞いた私「オレンジジューステストですね」。「なんだそれは。」「ワインバーグというコンサルタントが『コンサルタントの秘密』という本で書いているんですよ。そこに出てくるんですが、相手に少々無理がある依頼をしましてね、それに対して依頼を丸呑みしたうえで実施にかかるコストをきっちりと言ってきた相手は信頼に足る、というものです。」「その本持ってる?」「貸しましょうか?」数日後「それ以外にもいろいろ試されていたなあ」という感想とともに本は返却された。その席に私がいたら、即座に「オレンジジューステストですね」と答えただろう。すると「この会社は分かっていて業務説明をしたわけか」と考えてくれるかもしれない。一冊の本から得た複数のネタを使っているところなどひょっとしたらこの会社、底が浅いかもしれないなあ。だったらこう付け加えるかな。
「早朝にしぼりたてのオレンジジュースを多量に用意してくれという要件であれば、そこに誤解の余地はありません。ですからすぐに計算して、これだけかかりますがよろしいでしょうか?という答が返せます。しかし今回貴社が依頼している事項は、企業によってとらえ方が異なり、更には国によって制度的に対応できない部分さえあるのがむしろ普通です。であれば、対象業務の捉え方について一度包括的に説明して、そちらが依頼したいものとイメージが合っているか、それを確認するというワンステップは必須と思いますがいかがでしょうか。」
うちの娘のマイブーム的口癖が「ワンチャンあるかも」。どうやら「可能性はゼロではないからやってみよう」の意味らしいが、本来「ワンチャンあるかも」ってこういうことを言うのではないかな?と疑問を呈した。ジャストの実例があったな、とずいぶん久しぶりに、思い出したということだ。
もっとも私がこんなことを言ったら周囲に怒られた可能性は高い。
「おい、やんわりと断ろうとしたのに、なんで次の話があるように持って行く。先方すっかり乗り気になっちゃったじゃないか。」