迫りくるゼロサム時代

 新元号が「令和」に決まった。
 ドイツからの元帰国子女、英国留学経験あり(ホームステイして3週間ほど英語学校に通っただけだが、現在の基準だと「短期語学留学」らしい)の私は瞬間的に
「ゼロサム」
と読んでしまった。パイが増えることのない一人の利益は必ず他社の損になるというあれである。なんと景気の悪い元号だろう。
 アベノミクスが実際にもたらしたのは、期間だけは長い名ばかりの低成長、ただし統計の取り方に問題があり実はマイナス成長らしい、しかも官制相場といわれるように公的資金というか年金資金で買い支えてこれ、という株式相場つまりなんかの拍子にに落っこちそうな危うい体制である。
 元号には安倍首相の「安」の字をとるのではないか、という観測が多かったが、さすがにそこまではやらなかった。が、政策がもたらせた経済状況をわずか一語で表したところなど、とてもアベな元号であると言えよう。

 しかしながら、デザイン業界だけは活況を呈しそうだ。
 漢字二文字の元号という点では伝統を踏まえているが、官房長官が掲げた文字を見て違和感を感じた人はいなかっただろうか。それが硬貨の上に刻印されている様を想像するとよい。なんか落ち着かないでしょう。「令」の文字がかなり極端に「ひし形」なのだ。ここのところ元号の文字は正方形が主体だ。そりゃ漢字は正方形に収まるものだからそうなのだが、「令」はかなり例外に近い。(「上」とか「人」が三角形かな?)
 すると単純に元号の部分を入れ替えて「令和」にしたのでは、どうもデザイン上落ち着かないところがでてくる。これを作り変えるためにデザイナーの需要が高まるだろうというのが予測だ。「令」の字については全国のお習字教室で早速指導がされるであろう。ちなみに左側の払いを大きめにした方が形がとりやすいらしい。

 5月1日に生まれた女の子の名前に「令」がつく割合は・・・2〜3割かなあ。候補として挙がる確率は8割を超えるだろうが。
 ところで私の作ったフリーソフトに元号を用いたものはないので、元号対応競争には参加できません。つまり修正時に予想外の事態に陥った場合の例は出せませんのであしからず。
 やむを得ず「平成」で日付をとっていたデータの洗い替え処理、RMDBならSQLだけで済むかもしれないがどれくらい時間がかかるだろうか。インデックス貼り替えまでいれると大変なことになるかもしれない。

 首相の支持基盤である日本会議は「元号を交付するのは新天皇になってから」と主張していたそうだが、無理強いをすると逆効果になっただろう。システム対応が大変だとなれば「これを機会に西暦に統一しよう」という動きが出てもおかしくないからね。

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