集中して勉強したいときは、強制的にそうできるように、最低限のもの、例えば本一冊持って近鉄特急に乗り名古屋まで往復する、という人がいた。確かに昔から「三上」という言葉があって、考え事をするに適した場所として馬上、枕上、厠上、があげられている。現代では「馬上」はないけれども、電車の中というのがそれに代わりうるということかもしれない。もちろん通勤の満員電車ではない。ゆったり座れて、そこそこよい景色が眺められるくらいのことは必要であろう。そういえばモーツァルト(1756-1791)は街から街へ移動する「馬」車の中で作曲をしていたとか。これが産業革命後のドボルザーク(1841-1904)になると列車の中になる。社会問題ネタ、目次へ
かといって近鉄特急に乗るほどの金銭的余裕がない身としては、かつ関東という近鉄特急のような理想的な列車に恵まれない地としては、
「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」
を活かして、ぐるっと大回りして隣りの駅までの運賃でひたすら電車に乗り続ける、ということに挑戦しようと思い立った。大都市近郊区間大回り、というのは、昔から乗り鉄と言われる人種の間ではポピュラーな趣味らしく33時間かけて1035.4kmを踏破した強者もいるらしい。
しかしながらこちらは長距離を制覇するのが目的ではなくて、集中して勉強するのが目的。疲れ切ってしまっては本末転倒である。それと、リラックスするためには景色も楽しみたいわけで、そうなると北関東の田舎田園風景も魅力ではあるが、やはり「海」。ということで房総半島一周に挑戦することにした。東京駅発の京葉線に乗って蘇我を過ぎれば、あとは総武線の千葉あたりに戻り着くまでひたすら田舎人口密度の低い地域を通るというのも魅力である。そもそも京葉線の車窓からだって海が見えるくらい千葉は海に恵まれている。(銚子や成田方面を回るのは時間がかかりすぎるかと見送った。)
コースはちらっと書いたように京葉線、つまり東京湾側を南に下って、太平洋側を登る。理由は簡単。海側に座っても日差しが入り込んでこないだろうという予測に基づく。(どんな車両が使われているかまではよくわかりません。クロスシートだといいなと期待してます。)どの電車を利用するかについては、乗り換え案内使うとあっさりできますね。経由駅を指定するのがコツです。時刻表眺めながらプランを練る、という必要は無くなったようです。でも乗り換え案内の言うとおりではなくて、提示された電車を見ながら「一駅前で乗り換えたほうが座れる確率が高かったりして」「一本後に乗り換え不要の直通電車は出てないかな?」といったことは考えます。
なんか面白くなってきたぞ。予備調査をしているうちに子どもの自由研究にいい素材だったかも、と思えてきた。経路を決めて、先々で写真を撮って、感想を書いて。おっとお弁当をどこで買うかも決めないとな。なかなかおもしろい。しかし一応「理科」であれば、テーマはこんな感じにしないといけないかな。
「電車に乗って勉強すると捗るか?」
電車の中で宿題をやると宣言して頑張るわけだ。(あるいは頑張ったことにする。振動があるから漢字の書き取りと数学の図形問題は無理であろうが、そもそも大物宿題「自由研究」をやっているのだ。それが1日で終わる。すごく勉強してることになる。文句は言わせない。)
しかし、電車に乗り続けていると能率が落ちてないか、くらいの疑問は出てくるだろう。これを調査すると一気に自由研究度が増す。結果を数値として出すことも可能だろう。
あてになりそうもないがスマホのストレスチェックアプリで疲労度を測るという手が使える。ついでに血圧も測ろうか、という気持ちになる。「多分」だがリズムゲームのスコアの変化で測定した方がいいかもしれない。疲れると確実に精度が下がるからね。しかし、熱中しすぎるとこれまた本末転倒(に見える)。それにあくまでこれは宿題だ。先生の印象も考慮しよう。乗り換えの待ち時間はそこそこ短いので、屋外で暑い思いはしなくて済むようだが、外房と内房の境、安房鴨川だけは30分待ちである。夏休みの自由研究とするなら対策が必要かもしれない。(駅弁は改札外でないと売ってないのね。仕方ない、お弁当作ってもらうか。)
実際に回ってみた経験から言うと、五井あたりから空いてきて、木更津すぎるとぼけーっとなります。館山にまで来るともうガラガラ。ホームで涼しい風に吹かれてストレス指数も14まで落ちました。(ストレスチェッカー、車両が動いていると測定は大狂いするのね。単線区間の離合を活用しないと。)
江見から大海あたりは、かなり揺れますので、せっかくですからちらちら見える海の眺めを楽しむ方が良いかと存じます。
心配した安房鴨川の30分待ち。到着するとすでに列車がホームに入ってましたので大丈夫です。この調子だと、夏になっても「電車で涼めます」ができるか?
茂原までは4人掛けクロスシートを独り占めできました。おかげでパソコン広げて原稿の校正ができました。成東あたりになると座れるとはいえ、ちょっと暑苦しい感じ。自炊してタブレットに取り込んだ本を読んでました。
このような状況を踏まえて、車内ではどんな勉強計画を立てればよいかは、次の課題です。