人権標語にコンピュータを活かす

 年に一度の人権標語。
 作り慣れたと言ってはそれまでなので、新しい試みをしてみた。
 ネットから優秀作品として選ばれたものを500くらい集めてきて、テキストマイニングを行い、共起ネットワークで表示させたのである。

 おお!
 なんとわかりやすい。

 かくして、線でつながれた単語を適当に組み合わせて(目で分かるので組み合わせやすい)、他の部分に出てくる単語を1つ混ぜると、
「無関心 なくそう 未来の差別の芽」
わかるような気がするのだがよくわからない。しかし耳触りがいいのですっと抜ける。すんなり受け入れられて目立たない。ある意味理想的だ。
 今年も昨年比レベルアップを達成して終わってしまった。

 ちょっと得意になって他の人に紹介すると
「このマップそのまま人権啓発ポスターに使えない?」
 確かに。
 集めてきた人権標語にある重い表現を除けば、たとえば「ネットの一言は消せない」というものを除けば、きれいな言葉がいい具合に並んでくれる。
 しかしこれまとめて「ポスターです」と出してオリジナルと認められるかどうかは、ちょっと難しいかもしれない。でも新奇性はあるからいいか。
 なにしろ念のために「人権標語 & テキストマイニング」でググっても1件もヒットしなかった。新聞記事とかアンケートをテキストマイニング、なんてのはそこそこ当たるが、ひょっとしたら日本初かもしれない。
 しかしながら自分自身の独創性ゼロというのは否定しきれない。(これが独創性ゼロなら写真も著作物として主張するのもヤバいのだが)そこで「共起ネットワーク」ではなくて「ワードクラウド」にすればいけるかもしれない。単語に合わせてフォントや色を変えればそれはもうオリジナル。写真で言えば構図を決めて、フィルタをかけてというレベルまで行っているということだ。

 これで夏休みの宿題が助かる人も多かろう、さあどう加工しようか、とみているうちに。
「共起ネットワークってマインドマップに似てね?」

 使えるかもしれない。  えっとー、日本史の教科書をOCRで読み取って、「本能」「寺」「変」と分解されないように歴史用語辞典の項目をツールに入力して(フリーで高性能なのでKHCoder使ってます。ペアになっている論文&解説書がナカニシヤ出版というのもマル)・・・、

 そこまでうまくは行かなかった。

 いや、うまいこと行くならね、歴史の教科書&参考書を読み込ませてデータで持たせて、「本能寺の変について解く〜本能寺の変を中心にマインドマップもどき(キーワードの重要性と関連性が位置で分かる)」とか「ウェストファリア条約を中心に再描画」とかやっていると出来事の関連性と連続する要因が分かって理解が深まりまくるかなあ、と思ったのよ。くやしい。「コンピュータを教育に生かす」新たな地平が見えるかと思ったのに。

 でもまあ、ウェストファリア条約についての図を見て、「この語のつながりは〜三十年戦争の原因についてか。ここは登場人物についての部分だな。歴史的意義がこの辺並んでいるみたい。」などと自問自答しながら理解を深めるには役に立つかもしれない。つまり学校の授業が終わったところで先生が今日学んだ範囲を図にしたものをデータとして生徒に送り(つい「プリント」と書きそうになった)、生徒は家で復習する。復習といっても、この程度なら電車の中でもできてしまう。あれ?あたし結構いいことに気が付いた?ただし理科(除く物理)と社会しか使えそうもないのが癪だ。せめて英語に適用できまいか。ノートや参考書を眺めているだけではついつい読み飛ばしてしまうことを意識させれば理解は深まりそうだと今回分かった。ではそのためにはどうするか。

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