目指すは「J字回復」

 わかってないなあ、
 V字回復なんかするわけがないじゃないか。

 今の新型コロナ対策は「自粛」で産業をつぶす方向に行っているのだよ。当初は企業側に「自粛」を要請していたが、消費者に「利用するな」と言うようになった。つまり「これを中止すると会社が倒産する、強行するしかない」という選択肢がなくなったわけだ。そうでなくてもイベントやスポーツ、観光業、飲食業はすでにかなりのダメージを受けている。行政自らお客さんがいかないように誘導すれば、ほどなくこれらの産業は倒産の嵐となるだろう。そうすれば、「飲食業全滅」とはいかないけども当然産業規模は縮小する。それも回復不可能な規模で、だ。  3/22に大ブーイングと自治体の自粛要請を振り切って開催されたK-1の興業は生きるか死ぬかの末の決断であったと思う。その結果クラスターが発生していないことを見ても、実際の影響はゼロとは言わないまでも少ないことは明らか。そういったものを今度は「行くな」と抑え始めたわけだ。「濃厚接触を前提とする」酒場なら分かるが、いつの間にか夜開いている飲食店一般に拡大解釈されている。まさに官製「風評被害」。

 不要不急な産業はこれを機会に整理する、効率の悪い中小企業を中心に、という構造調整を行おうという発想がどこかにあるのかもしれない。全体最適を考えるとやむを得ない選択ともいえるだろう。しかしながら肝に銘じておいてほしいことがある。売り上げが急減し、既存の規模を守れない産業がいくつか生じた後であれば、
V字回復は絶対にできない。
 経済のプレイヤーが足りなくなっているのだから生き残った個別の企業の規模が元に戻っても、産業として、あるいは日本経済全体として元に戻るわけがない、ということだ。長期的には生き残った企業が拡大して、つぶれた企業の穴をふさぐかもしれないが、少なくとも「V字」回復にはならない。

 だから補助すべき先としては「子供が家にいるので働きに出かけられないお母さん」ではなくて、自粛で売り上げが急減したため、会社を維持できなくなっている企業のほうが優先度が高いと思う。その次が解雇になった派遣社員であろう。もちろん売り上げ急減で解雇をやった企業への補助はその分減らすのよ。そういった公平性は必要だろう。
(ライブハウスの人が名指しで避けろと言われたことに対して「補償」と言わず「(文化への)助成を」と言っていたのは印象的だった。この人賢い。)

 もっともかつて「穏健なファシスト」と言われた私は、これを機会に非効率な産業や企業を淘汰に任せるのもありかと思っている。ただしV字回復はあきらめてのことだ。目指すのはJ字回復である。あとはいかにこぼれおちた人を助けるか、なのだが「天は自ら助くる者を助く」という原則をあまり変える気はない。
 とりあえず外国人への過剰な福祉費用の節約と課税上の優遇措置を見直して財源を探すことから始めてみようか。

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