東京覇権の不合理(風営法をきちんとつかえ!)

 小池都知事は「新型コロナはもう大丈夫だ」というイメージを醸成することに成功したようで、感染者増加は特に対策を講じる必要のない、あたりまえのこととされている。都知事選対策と思うが東京アラートも廃止、当面休業自粛は出す気がないそうな。支持率を考えると間違ってないようだ。

 しかるに東京の感染者が近県に移動して感染が拡大している様子さえ観測されている。はっきり言って迷惑である。だから近県の有権者は言いたいだろう。「都知事選、我々の意向も聞いてくれ。一票とは言わないがせめて半票。」
 さらにはこうじゃないかと考えた。有権者は当然東京都民に限られるが、東京都内の営業自粛で困る度合いは東京都民よりも近県の人間のほうが大きいんじゃないだろうか。
 東京に住み、特に不動産を持っている人間は営業自粛となっても家賃は入ってくるから経済的には特に困ることはないし、自分の持つ店舗で営業している限り「休業補償で食いつなげる範囲」それほどの負担でもあるまい。問題なのは店舗を借りている人、ないし従業員を雇っている人ないし雇われている従業員、であろう。
 営業自粛の呼びかけに対して「それなら私たちは田舎に帰らざるを得なくなる」と脅していたキャバ嬢がいたことにみられるように、そういう人はたぶん「田舎出身/近県在住」であろう。投票権がある人は少ないのではないかな。それに対して東京に住んでいる人は全体的に拡大する新型コロナの恐怖におびえているわけだ。

 つまり「コロナによる規制が都内で行われることによって困る人」の中に東京都知事選の有権者は少なく、「コロナが都内で野放しされていることを嫌がる人」に有権者は多い、わけだ。実際に投票に行く有権者に高齢者が多いことを考えると、
「規制(現象としては「自粛要請」)したほうが得票数に反映する支持者数は多いんじゃないの?」
(え、感染してるのは若年層中心としているのは、投票に向かう高齢者層に自分の問題ではないと思わせるためか?)

 鑑みれば、東京近県にとって、東京というのは住民を吸い込んでしまうという意味でマイナスの効用を持つ。住民の地域福祉のために市役所の仕事は多くなるし、福祉や公共財の負担も大きいが、住民たちの目が向いているのは東京であり、日用品や食料品はともかく、まとまったものを買うとなると東京に行き、東京の飲み屋で支払いをする。
 しかしながら住民税の原資となるという意味で恩恵を受けていることは間違いなく、近県にとっても利益となる。
 なんとなくこの構図、東京覇権。つまりパックス・ロマーナ、パックス・アメリカーナに似ている。覇権というのは、覇権国の利益に追従することが追従している国家にとっても利益となるという構図によって成り立つわけであり、この点では植民地支配して内部で争わせ、そのすきに資源を根こそぎ持ってゆくパックス・ブリタニカはどうかという気がするのだが、コロナの拡大というか移出によって、東京覇権もブリタニカ方面に揺らいでいるような気がしなくもない。とりあえず、オリンピックの会場は全部東京に持って行ってくれたまえ。
 タイミング悪かったなあ、東京都民に県境を越えてほしくないと都民の予約申し込み謝絶〜オリエンタルランドが、やるわけないか。


 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる「風営法」を読むと、その第十三条で、
《風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない》と規定されている。
 では深夜でなければ営業していいのかというと、第2項にて《都道府県は、(中略)風俗営業の営業時間を制限することができる》とあるわけだから、例えば「午後7時以降は営業禁止」とすることは東京都の権限で可能なのだ。
 すでに法律は用意されているのだ。なぜやらない。都知事選の公約として追加されても何らおかしくはない。
 確かに営業時間の制限をおこなうためには特定の条件が定められている。《善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるとき》。
 少々拡大解釈に見えるかもしれないが「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」としたのでいいじゃないの。だってコロナ流行でまた学校閉鎖になったら、それはまちがいなく「少年の健全な育成に障害を及ぼす」ことになるよ。
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