バーコード決済、ちょっとだけ改良

 専用のモパイル端末を作る。「電子小切手帳」と名付けよう。
 支払いをしようとするレジに向けると、 赤外線通信が開始され、 レジのIDと請求金額が飛んでくる。代わりに端末 (電子小切手帳)は自分のIDをレジに飛ばす。
 支払う金額を端末(電子小切手帳)上で承認すると、 端末は自分のIDをレジのID、 金額に加えて今度は銀行に情報を飛ばす。
 銀行はそれらの情報を元に口座の振替処理 (ないし電子小切手の発行&送信処理) を行い、支払い完了の旨をレジに向かって送信する。  レジは端末IDと金額を確認し、取引終了。

 私が25年前に考案し、 業界団体への提出論文で言及した 「電子小切手帳」 のスキームである。ついでにいうと、 取引開始から完了までの時間が極めて短いので軽度な暗号化でも解読が追いつかないから安全というおまけ付きである。

 当時は「そんな端末作っても誰も買わないだろう」 「通信費用とインフラがやたら高くつきそう」だったが、今や 「スマホ」 を持っているのが当然とみなしていいような時代。おお、時間が解決した。

 しかしさらに心配だったのは 「都度小切手を発行できるように銀行取引を24時間可能にするのは無理だろう。」

 ところが、そのへんを大変と考えない人がいたようで 「バーコード決済」 なんて形で実現してしまった。
 私に先見の明があったことは間違いなかろうが、 なんかすっきりしない。

 このスキーム、銀行に有利なように考えたんだがなあ。 25年前だから 「決済機能は譲らない」「流動性預金の残高を増やして低コスト資金を取り込む」なんて効果を想定していたのだ。ところがバーコード決済となると金融機関に有利ですらなくなっている。
 おい、パーコード決済会社、そんだけのことやっといて日銀や金融庁の監査を免れられるとは思うなよ、と言いたくなる。(が、事故が起こるまで当局は野放しみたい。)

 ついでにいうと、 このスキーム、プリペイドカード型電子マネーは 「財布渡して、いるだけとって」という仕組みであるからとても広がらないだろう。今で言う暗号通貨は、この1円玉は他のどの1円玉とも違う、を保証しようとすると計算量が爆発し、どうにもこうにも動かないだろう、と極めて常識的に想定し、じゃあどうしようか、とそれを解決するために考えたものだ。
 今支払うのが、例えば390円として、なら僅かな寿命の390円玉を作り、その正当性を銀行に担わせよう、そのためには小切手のメタファーを使うのが妥当。ところが、小切手を単独で電子化しようという動き 当時すでにあったので少額決済のたびに個人が振り出せるようなしくみを区別しようとして「電子小切手帳」という言い方にしたのだ。

 もっとわかりやすく書いとくんだったかな、とちょっとだけ反省し、それでも誰も理解できなかっただろうな、といつもの気分になるのであった。そもそも特許とってたとしても、とっくに期限が切れているというのは事実である。

 というわけでスルーしていたのだがちょっとだけ機能追加を提案。
 ネックであった電子機器は超高性能なものが普及したんだからもう少し頑張ってもらおう。海外のお客さんが日本で買い物をするのに使うとき、支払う日本円の額を予め自国通貨に自動で換算してもらうのだ。
 こんな事を言うとだいたい反論がある。「そんなの手元の電卓機能で換算すればいいじゃないか。」そのとおり、しかしそれに対して「いちいちやるんですか?」と問うとだいたい口ごもるのだなあ。

 インバウンド消費刺激策として、ちょこっと自国通貨有利に換算してお買い得感を演出するなんてのも考えに入れておこうか。銀行間の為替レートと現金を交換するレートは随分違う。紙幣はそこそこコストがかかるからね。銀行は交換のために買い入れた外国通貨の紙幣をまたお客様に手渡したりしない。偽札があっても判断できないからだ。なので本国から送ってもらう。すると銀行間の交換レートが1ドル=120円だったとしても、例えば123円になるわけだ。逆に合衆国で円の紙幣を入手するときは例えば1ドル=117円になる。じゃあドルで現金に交換することを考えて117円のものを1ドルと表記して、あとで120円(ホントは手数料1円程度)引き落としたとしても、必ずしも間違いとはいえないだろう。

 あとで気がついた人がいても非難はしないだろうし、もし避難したとしても「ろくに外部監査もうけてないポッと出の団体が作る」バーコード決済なんだから「そーゆーもんだ」とあきらめてくれい。

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