気の弱い凶行者、自分をさらに追い詰める
 共通テストの東大会場で刃物を持って切りつけた東海高校の生徒の心理、理解し難いが理解しようと努力してみた。
 東大の本試験ではなく、共通テストの会場で暴れたか、という気の弱さがなんとも救いがない。共通テストの会場がたまたま東大、という人になら不意打ちする気になれたが、実際に東大理科IIIを受ける人に切りつける勇気はなかったということだろうか。この「気が弱い」というのがキーになりそうだ。

 普通は思う。医者になりたいのなら医学部に行けばいい話であって、特に東大である必要はない。そもそも東大医学部卒の場合「研究者」に進むことが多く、医者になる人は逆に少ないそうだがその辺どう考えているのだろう?多分「何も考えてなかった」のだ。
 どうしてそうなったかを考えるとシンプルなルートはこれだ。高校入りました→成績低迷しました→とても「医学部」には進めません。多分そこまで落ちたのだと思う。ところがこの気の弱い人はそれを認める勇気がない。だからこう思うことにした「東大志望だから成績が足りないんだ。」
 自我は幾分か守れただろう。「どこでもよいなら医学部行けるけど、東大志望だから足りないのだ。」「ほんとはできるけど、やらない」という言い訳のバリエーションだね。ところが副作用がある。地方大学ならB判定くらいいくとしても東大だと、さあ?E判定かな。つまり「学力足りません」の度合いが大きくなる。自我は守れた代わりに絶望の度合いが激しくなるということだ。傍から見ると自分で勝手に追い詰められた気になって凶行に及んだことになる。

 進路指導の先生に伺ってみたい。こう尋ねたと思う「おい、さすがに東大は無理だから、みゃーだい志望にしないか?そのほうが実際に医者になる人は多いんだぞ。」このとき「いえ、僕は東大理科III類に行きます」と頑なだったかどうか。
 もし、進路指導の先生に問うても答えてくれないとすれば、東海高校に責任の一端はあると言っていいかもしれない。いやすでにコロナに添加できない程度の責任はあるのだけど。

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