面子をあっさり捨てられなくて面子が潰れそうな話

 日本では面子というのが大事らしい。
 どれくらい大事かというと、対外公約「RPAで年30万時間を削減します」というのがあったので、一人で30万時間分作ってしまったのを報告したとき、こんなお返事をもらった。「RPAって何ですか?ってなるからRPAという文言は削除してください」。
 つまり「RPAはやらなかったことにしろ」ということだ。あらかじめ「RPAのために作った開発環境を使います」と申請してなかったので気に触ったのかなあ。
 常識的に考えれば、対外公約を反故にする方が面子まるつぶれだと思うが、内しか見てない組織だと「自分が旗を振っている外で、自分が出すべきだった成果が出た」ことの方がよくないらしい。つまり、当たり前のことで恐縮だが、面子とは常識的な判断を狂わせるものであるようだ。
 というわけで売り上げデータを何億もかけて分析した結果「おにぎりを買う人は、同時にお茶を買うことが多い」と分かった以上、「うん、知ってた」と流すことは許されない。POSデータ分析を行え、と指示を出した人のメンツをつぶすからだ。何らかの関連した成果を上げなければならない。結果生まれた施策が「おにぎりを買った人にはお茶をおまけにつけます」なのだろう。うん。お客様のためになるいいことだ。
 これに対して対外公約「RPAで年30万時間を削減します」はお客様のためではないから、どーだっていいと言えばどうでもいい。持ち株会社制をとっていると株主との距離も遠いので外部から文句が来ることは考えなくてよかろう。なので、ひょっとしたら社内力学の都合で初めから失敗させるつもりだったのかもしれない。学閥争いか?出身行のいざこざか?そもそも施策としてインターネットにすらつないでないパソコンを倉庫に何台か並べて「RPA開発環境を用意しました」としてもできる人から見れば「RPAをなんだと思っているのだろう」である。当時は腹が立ったが、今考えなおすと成功すると困ったことになったのかも。(といってもその後で「自由にFintech開発を」とパソコン何台か並べたって施策が別にあったのだから本気だったのかもしれない。このとき「Pythonは可能性を持った開発環境ではあるがインターネットから未検証ライブラリを持ってくるので危険。なので独立した環境を作る」と言ってくれればとっても理解できるけども。?相談してくれれば理由くらい後付けで作ってやる。)

 早稲田大学が国際卓越大学指定の再申請を行った、というのを聞いて上のようなことを思った。(どーゆー連想だ。)
 背景としては慶應大学の学長が「国立大学の学費を年150万程度に値上げ」と提言してひんしゅくをかったことが関係しているのでは、と見ている。「今の状態なら所轄官庁が、慶應にお灸をすえる意味も込めてわが校だけを指定してくれるかもしれない」と期待したという要因もありそうな気がしているのだ。
 慶應はここで早稲田に対抗するため「国立大学の学生の中には値上がり後の学費が払えないものもいるだろう。それらの人のために慶應大学は卒業生の会を通じて寄付を募り、一千億円の給付型奨学金基金を用意した」くらいは言ってほしいものだ。本来慶應らしさとは「(国立大学の授業料を値上げするに合わせ)授業料を年間一千万円に値上げする」として「高価な学費で高級な教育を与えるという方針を内外にアピールし、早稲田を貧乏人扱いする」といったものだったような気がするのだが。

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