日本代表に怒ってます

 私は予知能力がある。会話が予想できる。

 インタビューアー:「今日の試合はどうなりますか」
 サポーター1:「ぜったい勝ちます」
 サポーター2:「2-0、2-0」
 サポーター3:「いや、3-0」
−試合終了
 サポーター:「まだまだこれからです」
−次の試合終了
 サポーター:「希望はあります」
 サポーター:「信じています」

 ここまでは完璧だった。が、その次にどう言うかは分からなかった。
 とりあえずは
サポーター:「感動をありがとう」
でごまかそうと思っていたが、惨敗だとそうもいかない。
また
サポーター:「次につながる戦いでした」
と言えるほどの若手もいない。

 で、自分自身の感想はどうだったかというと
「選手たちにはいい思い出が出来たでしょう」
 出てないのは、23人中3人。GKの楢崎、土肥、MF遠藤か。負け試合と分かれば代打で出してやることができる野球じゃないから、少ない方だろう。

 前半ロスタイム、ロナウドが見えていながら、前に走り込んでフリーにしてしまった中澤のミス。これだけなら許すが、その時に下がりすぎて「オフサイドポジションにいたロナウドを助けた」ミスは超ゆるせん。(これで川口の気持ちが切れてしまったんだろう。そうでなければ2点目は止めていたかも。)
 前半45分、中村のフリーキックを待ちきれずオフサイドで受けた巻は許そう。舞台経験がないからはやる気持ちを押さえられなかったのだろう。でも、オフサイドポジションギリギリから飛び込んでいたなら、少なくとも枠の中に飛んでいた、その4次元的ピンポイントに蹴りこんだ中村は凄いなあ。巻が先に飛び出た分、頭を戻して合わせざるを得なかった。そして頭を戻した分だけボールが浮いた。残酷だった。
 で、前半2-0で終えていれば、と悔やむ気はある。

 サムライブルーというネーミングはよかったかも。終了間際、あと1点ならなんとかなったのだ。ロスタイム、サムライジーコが白装束でハラキリの準備、なんのことかと驚愕し、ブラジルの英雄を見殺しにするわけにはいけない、と足を止めたブラジルイレブン。その隙に1点。

 ジーコは鹿島アントラーズを強くしたという実績があるので、期待してたんだけどね。今思えば、ジーコの顔でブラジルの有名選手を連れてくる、→ジーコの叱咤激励で本気のプレーをさせる、で強くなっていただけなのね。
 実は日本代表でも同じことをしようとした節がある。ジーコはあとで「日本にロナウドがいれば」などと言っていた。言い訳かと思ったが、ひょっとしたらロナウドに帰化をすすめていたのかもしれない。

 日本を強くした功績は「キャプテン翼」を描いた高橋陽一にあると思うが(このマンガがなければサッカーをやっていたかどうか、と中田が言っている)、悪影響もあったようだ。翼のドライブシュートは確実にゴールマウスに向かって曲がって行く、キーパーのスーパーセーブで止められることは多いが、枠を外すことはない。若島津くんは、ドライブシュートを止めて手刀でクリアするが、それがコーナーキックにつながることはない。
 つまり決定力不足に悩んだことはないし、セットプレーも極端に少ない。日本代表の弱点と通じていないだろうか。まあよい。キャプテン翼はアニメとして海外に輸出された。諸外国でも同様の弱点が出てくるだろう。

 とタラタラ文句を書いていると、次期日本代表監督はオシムなのね。ジェフ=ユナイテッドが再び万年Bクラスに沈むのは残念だが、期待が持てるようになった。ジーコがトルシエの遺産を使い尽くした後、どうなるのかと思っていたのだ。
 私が主張しているだけだが、過去1度だけオシムが日本代表の指揮を執った試合があり、結構機能したのだ。2005年8月のアジアカップ。監督にすら見放された日本代表は、控えメンバーだけで、完全アウェーの中国戦を2−2の引き分けに持ち込んだ。
 フォーメーションも何もないまま放り出された先発メンバーは何に頼ったか、を想像した。ここで、DF茶野、MF阿部、村井、FW巻。に着目。これってオシムに考えることと動くことを教わったメンバーじゃないか。ならば、まずジェフ=ユナイテッドの動きを思い出すだろう。それは前半2点を取られた。が後半は素晴らしかった。私がサッカー記事については全幅の信頼を置いている日本経済新聞によると《控え組を抜てきした急造チームが前半に2点を奪われてしまった。相手は当然、引いて守る。それをどう崩すか。北朝鮮戦とはメンバーはかわったが、アジア相手の日本のテーマがまた試された。そして「控え組」にその「答え」を持っている選手が2人いた、と言ったら大げさだろうか。》この記者には「日経サッカー」が出来たとき、是非編集長になってほしいものだ。
 思い入れ強すぎかなあ?でも阿部は言うと思うぞ。「ずっとオシム監督の声が聞こえていました」。茶野、村井、巻も同じようなものだと思う。そのうち他の選手も何に基づいた動きか分かるようになる。あるいはハーフタイムに調整したのかね。試合前に「ジェフの動きで」とは提案できないと思うが、ハーフタイムならできる。

 ジーコを指揮者に例えると、どうもねえ。キャリアのある演奏家を連れてきて、自由にやらせて、まあいつも同じメンバーならそのうち合うから、という感じか。アテネオリンピックの山本監督なんか、ショルティみたいだ。自分のイメージをきっちり伝え、環境を整えて、実際に音を出すのは君たちだ、とあとは任せてくれる(らしい)。感動したのは平山の使い方。競り合いは強い。が、決定力はない。こいつが潰れ役を買って出てくれれば、、、しかしまだ若いからなあ・・・と思っていたら、きっちり潰れ役をこなしている。あっ!と気がついた。2トップの相手は大久保。同じ国見高校、平山にとってはあこがれの先輩。この先輩と組ませてもらっただけで大喜び。ここで「おまえはマークを引きつけてくれ、おれのためにスペースを空けてくれ」と言われれば、そりゃ言うこと聞くよ。
 ベームの話を聞いたとき連想したのは野村監督、いろいろぼやくんだって。ウィーンフィルならやる気につながるそうだ。これが楽天だと選手が落ち込むということだ。

 今の日本代表にはマイルスやコリアが必要かもしれないが、「オシムスクール」という流行語ができることが期待できそうだ。

 先の日曜日、近所の公園を通ると、いつもサッカーをやっている小学生が野球をやっていた。野村謙二郎の「こどもたち、野球っていいもんだぞ」という声が今更ながら通じたのだろうか。

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