りんどうジャパン

 うちのガキに一人ぼけ/つっこみを教えている。
 別に上のガキがお笑いをやろうとしているからではない。試しに教えた大阪弁はハナから落第である。ついでに英語も落第とまではいかないが赤点の危機に瀕している。赤点なんてマンガの世界の空想の産物と思ったら本当にあるんだなあ。

 教えているのは下の方だ。《ポケモンの名前いえたなら、言われたポケモンはうれしい》などと歌っているので、そんなことはないだろう、と突っ込んだのだ。
 ポケモンが自分で自分をピカチュウなんて呼んでいるわけではなく、人間が勝手につけた名前だろ。だったら別にうれしいなんて思う必要ないじゃん。
 うちのガキ、悩んでいた。言われてみれば確かにそうだから。

 でもね。と続ける。
 おまえの名前はパパとママがおまえに相談せずに勝手に決めた名前だけど、でも名前呼ばれるとうれしいだろ。だからポケモンもうれしいんじゃないか?
 納得したらしくニコニコしはじめた。

 でさあ、ピカチュウってサトシんとこの1匹だけなの?それとも他にもいるの?
 いるらしい。
 じゃあ、名前を呼ぶ代わりに「人間」って呼ばれてうれしい?ポケモンの名前はおまえの名前と違ってひとりひとりについているわけじゃなくて、種族に一括でついているわけでしょ。だから「人間」と呼ばれているようなもの。これってうれしいか?
 完全に混乱した。下の子にはまだ早すぎるらしい。知能は普通のようだ。

 上のガキがテレビを見て突っ込んでいる。BS11で「最近、視聴率が下がってきたとか大騒ぎしてるけど、適当な人が適当に作ったツケが回ってきただけですよ」と言った次の番組が「つまんねー。」
 うーん。じゃあ「適当に作ったツケ」って例えばどういうことだと思う?今のおまえも1つは挙げられるよ。
 うちのガキは「???」

 今、石川遼君が怪我してゴルフが出来なくなったらどうなる?石川遼が出れば視聴率は稼げると考えて、彼が出た大会は、ひたすら石川遼だけを報道しているでしょ。首位がだれかすら付け足すだけ。ここで1年間彼が怪我で出られないとなったら、それでゴルフは報道できなくなるじゃん。今どんな人が出てきた、とか、どういうところが勝負のヤマだ、なんてのを伝えて長期的なファンを増やすなんてことをせずに、石川遼だけを出して視聴率を稼ぐという適当なつくりは、いずれツケを払うことになるんじゃないかな。
 やはり中学生になるとこの程度は納得するようだ。

 ただし、うちのガキ、歴史モノが好きだと思ってちょっと捻ったことを言うとオーバーフローした。
 「サムライ」というのは、既得権に胡坐をかき、庶民からは想像もできないような高禄を貰う寄生階級であったから、野球やサッカーで「サムライ・ジャパン」と聞くと、威張ってはいるが浮世離れして弱そうな印象を与える、まー言い得て妙かもしれない。
 それでもここまでは付いてきてくれた。更に続けて、女子サッカー「なでしこジャパン」ががんばっているから、ここは男子サッカーも倣って「りんどうジャパン」にすれば(足が地に着いて)強くなるんじゃないか、というと「なんでリンドウ?」と聞いてきた。
 しまった。「野菊の墓」は読んでないらしい。

 でもさー、ドイツ代表のユニフォームが小柄なドリブラーを前後/左右から挟みこむ。
 1990年ワールドカップの伝説的ディフェンス「マラドーナサンドイッチ」。
 ドイツ代表に再びこれをやらせた日本人がいるというだけで満足です。が、更には勝ってしまうなんて、サッカーについてはドイツ国籍を自認している私も感動の涙であります。

 それにしても女子サッカーは、試合後の両チーム選手の仲がどうしても空々しく見える。なぜか観察した結果「ユニフォーム交換がない」のが理由だと思った。今後はどしどしやったらどうだろう。
 うちのガキは突っ込んでくれませんでした。

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