西武×ソフトバンクのクライマックスシリーズファイナルステージ。スポーツネタ、目次へ
勝つか引き分けるかでソフトバンクの日本シリーズ進出が決まるという試合。とうとう延長に入った。私は野次馬根性丸出しの面白がりの期待でこれを眺めていた。
規程により延長12回を超えることは無い。で西武が先攻。つまり西武が12回表の攻撃で0点なら、裏の攻撃を待たずしてソフトバンクの日本シリーズ進出が決まる。
であれば12回裏はサヨナラゲーム扱いでやらないのが適当ではないかと思ったわけだ。個人記録のかかるレギュラーシーズンならともかく、プレーオフで士気がゼロに近くなるわけだからやっても意味は無い。いや、もっとひどいことを考えていた。12回表0点。進出の決まったソフトバンクの選手がグラウンドになだれ込むのではないかと。その場合、ソフトバンクの選手が試合の続行を妨げたとして、審判は「没収試合」を宣言しなくてはならなくなる。すると西武の勝ちとなり、ファンが暴動を起こす。大きく捉えればポストシーズンにおいて、意味の無い試合をどうするかという問題なのだ。それこそ日本シリーズ、どちらかのチームが4連勝となればそれ以降の試合は行われない。当たり前だ?そうでもないぞ。だって切符は販売済みだ。
だから12回表で「コールドゲーム」とするのが適当じゃないかと思ったわけだ。
実際、12回裏は行われたが、ポンポンポンとヒットが出てサヨナラ。折角の名勝負も結末がこれでは台無しである。さらに一般化して考えた。なぜ9回表の攻撃終了時にホームチームがリードしていれば試合終了となるのだ。同点で迎えた9回裏、点が入ればそこで試合終了となることは規定されている。しかるに、9回表攻撃終了時点でホームチームがリードしていれば勝敗は決まっているが、そこで試合終了という規定は明文化されていない。(公認野球規則4.11)
勝敗の決した後の9回裏は無意味?そうでもないぞ。1979年7月13日阪神×広島。連続安打を続ける高橋慶彦、しかしこの日は第4打席までノーヒット。次に回ってくるとすれば9回裏。しかしチームはリードしている。このときの慶彦とファンは「9回裏の攻撃があって欲しい」と心から願った(ハズ)。ただし79年の広島は今の広島ではない。「必ずもう一度回してやる」と言い切れる打者が、つまり山本浩二が、衣笠が、いたのだ。だから高橋慶彦は日本記録を達成できた。
ところがポストシーズンにそういう「記録」はない。あるかもしれないけど試合数自体が違うのだ、たいした意味はないだろう。だいたいすでに「延長」というボーナスは付いているし。とりあえず、ポストシーズンで「決着がついた」場合の処置は今後考えておかねばならないだろう。が、この試合に限り、問題点は先送りできた。今年の西武×ソフトバンクだけは、万人が納得できる終わり方があったのだ。とにかく12回2死までは行ってもらう。
そこで西武監督、渡辺久信が審判のところに行き、ついでソフトバンクのベンチに声をかける。審判も男気を見せて欲しい。
「ライオンズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー牧田に変わりまして渡辺、9番ピッチャー渡辺、背番号41。」
もちろん「代打、秋山!」西武の黄金時代を支えた投打の中心が対決。遠路はるばるやってきたものの気落ちした西武ファンへの最高の贈り物となるだろう。