以前ちらりと書いたのだが、どうやら他にあえて口に出す人がいないようなので、少々詳しく書いておきます。スポーツネタ、目次へ田中マー君のポスティングの際、トレードマネーの高騰を防ごうとしたのか、大リーグ機構は譲渡金の支払額を
「入札額1位と2位の中間で」
というルールを決めました。実際の譲渡金額を押さえようとしてのことだそうです。それを聞いたわたくし。ちょっとした穴が開いているぞ、どうなるんだろうワクワク、としておりました。
どうしても取りたい球団は1位の額を出そうとします。
その場合、レッドソックスが松坂の交渉権を獲得したときの額が5000万ドルだから、まあ6000万ドルくらいかなあ、と見積もって予算を計上します。
ところが入札額を決める際に気が付きます。自分が1番札だった場合、実際に払う金額はそれよりも少なくて済む。ならば確実を期するためにもう少し高い金額を提示しておこう。
こう考える球団が2つ以上あった場合、入札金額は、むしろ増えるわけです。例えばヤンキースとレッドソックス、ともに6000万ドルまで出してよい、つもりとする。
が、自分が1位入札となった場合、支払う金額は、入札金額以下でよいわけですな。 というわけで、例えば6300万ドルで入札しても、2位の球団はせいぜい5500万ドルしか出すまい、と見込んでいれば、支払うのは5900万ドルで済む。自球団と同じく6000万ドルの予算として、その額を提示しても6150万ドルで済む。実際に予算を超過する額は、入札額の半分で済む、ってことです。
ところがヤンキース、レッドソックスが同時にこれを考えると、譲渡金額は6300万ドルとなり、楽天には実際の予算額より300万ドル多い金額が入るわけだ。大リーグ機構、大企業からそれなりの人材が送り込まれているはずだから、当然気が付いているよな、この程度のこと。どうするつもりなんだろう、まさか気が付いてないなんてことは、と結果を待っていたら、途中で
「日本のプロ野球機構が愚図愚図しているから、ルールを変えました。上限金額を明示します」
と言い始めた。あーあ。サッサと応諾しておけば、あと何億か楽天はもうかったのに。
はじめは「気が付かないなんて、みんな馬鹿だなあ」と思ったのだが、先方はそれなりに海千山千の面々だ。気が付かなかった、なんて単純な理由ではあるまい。(大リーグ機構は気が付いてなかった可能性があるが。)
楽天が儲かることが妬ましい、と他の球団のコミッショナーが足を引っ張ったのではないかな。「この条件は日本側に有利なんだ」と説いて回っても、「説明が悪い、わからん、キミの指摘が正しいとして、どうして大リーグ機構ともあろうものがそんなことをやるんだ」と言っておけばいいと思ってる方がいらっしゃるのだろう。
それでも私がそこにいれば、日本の貿易外収支に多少は影響していたような気はします。私の頭のひと回転は、マー君の1試合分の年棒には匹敵したかもね。