ギリギリの精神状態でゆっくりと球回し

 1982年ワールドカップ、1次リーグ最終戦の
西ドイツvsオーストリア
この隣国同士の対戦が「史上最悪の談合試合」と言われている。
 オーストリアが勝つか引き分けで西ドイツの敗退が決定。
 1-0か2-0で西ドイツが勝てば仲良く2次リーグ進出。(当時は決勝トーナメントがなく、1次リーグ→2次リーグ→決勝戦であった。)
 どちらかが落ちればアルジェリアが2次リーグ進出。
 試合は前半早々に西ドイツが1点入れてあとは球回し。
 ルールとはいえ、リスクをとらないところがなんとなく割り切れない。

 日本対ポーランドで1点負けの日本、紙一重のアドバンテージを信じて球回しで時間を消費しながらも、セネガルがこれ以上点を入れない、という博打。選手たちは無茶苦茶緊張ていたのだと思う。
 だってさあ、時間つぶしの指示を伝えるため武藤に替えて長谷部を出すのであれば、経験を積ませるためにキーパーを代えた方がよかったはず。さらにピッチの外でポーランドが交代の準備をしているのだから・・・できるだけ大勢出してやりたいじゃない・・・日本にとっても時間消化に役立つのだし・・一度ボールを外に出して時間を切る、くらいの気配りは普通であればできるはず。それができないということは彼ら相当テンパっていたわけだ。
 個人的には「にっぽんもこういうたたかいかたができるようになったんだなあ」と感無量であった。
 あと、ハンドで一発退場のコロンビアの選手が無事に帰国できそうでよかった、である。

 今回の大会では「ドイツが負けた」というのが最大のショックである。サッカーワールドカップを最後まで楽しむというのはドイツ在住経験者の特権だったのだが。
 うーん。これがグループリーグ第一戦が韓国だったら余裕で勝てただろうが、メキシコがパスサッカー封じのメソッドを呈示した後だからなあ。さらにスウェーデンが「気を付けるのはペナルティエリア近辺のフリーキック」というのを身をもって示したから。ファールの極端に多い韓国も、そこだけは自重したようだ。

 レーブ監督が指揮を執った12年間。確かにドイツは強くなってコンフェデ杯で勝ったように次の世代も育ってきているが、攻撃パターンが細かくつなぐパスサッカー+強烈なミドルシュートに固定されてきたのも事実。ドリブルでペナルティエリアに持ち込むとか、縦パス一本で切り裂くといったことを警戒しなくてよくなれば韓国程度でも運が良ければ勝てる、ということだ。これでも点取り屋といえるストライカーがいれば話が変わってくるのだが。
 ここ10年間のパスサッカー全盛時代の終焉を告げる象徴的な出来事になったと言えよう。(ペナルティエリア内にシュートを通さない、というディフェンスはドイツのお家芸だったんだがなあ。)

 決勝トーナメント、日本に期待はしないけど、キャプテン翼が世界的にヒットしたおかげで諸外国には「日本は何かしかけてくるかも」という警戒感だけは抱かせることができているみたい。紙一重の勝負になった時、ひょっとしたら効く。

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