選手村でクラスター

 東京オリンピックは後味の悪いものとなった。
 運営のゴタゴタで選手村の運営、まで手が回らなかったためであろう、今だに問題を巻き起こしている。

 まずは選手村の食事に問題があった。宗教や習慣もあり、ましてやコンディション調整のために食べ物には気を使うアスリートの皆さんが相手、そこでビュッフェ形式が重宝されるわけなのだけども、これがコロナ拡大の温床になることはダイヤモンド・プリンセス号で証明されたとおりである。
 当然、別の方法が必要となるのだが、組織委員会のトップが代わるなどゴタゴタ続きの結果、誰も代替策を考えてこなかった。一説によると「ダイニングの運営はボランティアに丸投げ」してたので、責任者がおらず、問題点に気がついていたとしても目をつむって当初の予定を貫くしかなかったらしい。一方では一回ごとにマットを消毒していたハイジャンプの運営ボランティアもいたことを考えると、ボランティアのやる気をうまく引き出したか、というのがいかに大事かがよく分かる。

 米軍基地に選手団を隔離し、食事もそこでとっていた合衆国でクラスターが終盤まで起こらなかったことから考えて、拡大の最大要因は食堂にあったのは間違いなさそうだ。分かっててはいても推測でしか語れないのがつらい。アスリートの皆さんは基本的に丈夫なものだから、感染してもなかなか発症しないのだ。なので発症した5日前の行動をトレース、といったことができず、気がついたときには手の施しようがなかったわけだ。

 選手団を派遣した各国から非難の嵐が舞い込んでいるのは当然であるが、これに対して森元会長と自称その娘である橋本聖子らの日本の政治家はいつものペースで非難をかわせると思っていたらしく、安倍前首相の言葉を引用し「三密が重なるのが良くないと申し上げている。屋外であるから密閉には当たらない」と開き直った。
 ここぞとばかり調子に乗っている国もあるようだ。「旭日旗はコロナウィルスを模しており・・・。」

 マスコミはこの騒動をコロナの図案を社旗とする朝日新聞を中核として面白おかしく海外に発信しているのは言うまでもない。オリンピックロスで急激に具現したニュース夏枯れを回避できると本心では喜んでいるかのようだ。

 競技後の選手の無節操な態度が感染拡大の要因であるという指摘もあったが、「使用したのは配布されたアルコール付きのコンドームなので自分の責任ではない」という反論が何故かそのまま通っている。

 トドメに1964年の東京オリンピック以来の伝統「閉会式には選手団が一斉に突入」があったものだからここで最大級の感染爆発が起こった。元々1964年の閉会式は隊列を組んで入場行進するはずが、手違いで開始が数時間遅延し、その間待たされていた世界中の体育会は当然酔っ払っていたため、偶然起こったことであったらしく、要するにそういうもんだから密着密集が発生して止めるに止められなくなったそうな。

 こんなことなら「はりせんかまし」の提言通り選手は競技が終了したら即帰国という制度を作っておくのだった。閉会式も小規模なものになっただろうし、と・・・皆反省していると信じたい。

 しかし、東京オリンピック、一番度肝を抜かれたのは「バーチャル聖火」でしたね。リレーされた聖火の熱に反応してスイッチが入り、専用アプリをインストールしたスマホに一斉に聖火が灯る。新国立競技場に聖火台がなかったのはこれゆえか。

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