マーメィド・パニック その2

「う〜ん・・・・・・」
 エドが愛用のコンピューターで魚の鑑定を始めた。
 長さはエドと同じ136センチ。鱗の色は桜貝色。にもかかわらず、頭がないのに、何故か生きている。
 普通、魚は包丁でさばかれてもまだピチピチと生きている。だが、その魚は包丁でさばかれた跡がないのにちゃんと生きている。
「ウチャー!!」
 エドが突然頭を抱え、うめきながら倒れた。
「エド、何かわかったのか?」
 ジェットが問うと、
「それが・・・データなし!」
 ジェットはガクッと落胆した。
「あら、いっそのことなら、喰ってしまえば?」
 いつものコスチュームに着替えたフェイがボソッと言うと、頭のない魚はピョンピョンと助走をつけて、ドロップキックをお見舞いした。
「何すんのよ!」
 フェイも負けずにバックブリーカーで反撃してから、上からのしかかった。
「ワン、ツー、スリー!」
「ワンワンワン!」
 エドとアインがレフリーとゴングになりきった。
「フェイフェイ、チャンピオ〜ン!」
 一人ではしゃぐエドの頭を、フェイは思いっきり殴った。
「どっち道、喰えるもんじゃねえな・・・」
 ジェットは溜め息をつきながら、テレビのスイッチを押した。
 ちょうど、『BIG SHOT』がやっている。いつものように、パンチとジュディが番組を進行している。

「さ〜て、次の情報だ。この番組ではすっかり定番になった生命体の情報だ。太陽系30万の賞金稼ぎのみんな、覚悟はいいか?」
「え〜、なになに、パンチ?」
「その情報は、聞いてびっくり見てびっくりの『人面魚』が賞金に懸けられたんだ。その額は、なっ、なんと、賞金首制度始まって以来の1億2000万ウーロン!」
「え〜っ、うっそ〜!」
「特徴は長さが136メートル、桜貝色の鱗をしているそうだ」
「じゃ、頭は?」
「頭がなんと、人間の女の子の顔がくっついてあるんだ」
「パンチ、それってジョーク?」
「ジョークだったら、この番組がとっくに終わっているよ」
「そりゃそうだね」
「おっと、本日の放送が終わってきたようだ」
「それじゃ、みんながんばってね〜!」

 放送が終わった途端、ビバップクルーの目の色が変わった。
 頭のない魚の体が、まるで蛇に睨まれた蛙のように、硬直した。
 ビバップクルーが一斉に魚をのしかかり、ロープでしっぽを縛って、格納庫で逆さ釣りにした。念の為にフェイが隠し持ってた麻酔銃で眠らせた。

  To Be Continued...

作/平安調美人

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