「私は時間も次元も超えてきたの。自分の犯した罪から逃れるため・・・。」
女はひどく寂しげにうつむいた。
別にこの女の過去なんてどうでも良かった。俺には関係のないことだ。
「罪?」
無意識に俺は聞き返していた。女の不思議な青い瞳が揺らめくように俺を誘う。
「私は死ぬことも、年を取ることもできないのよ。」
「俺が殺してやるよ。辛いなら・・・」
女は首を振った。
「これは罰・・・。自分のエゴが作りだした罪の罰なの。愛だと思った。あの人に狂気を見抜けなかった。私の産んだ子供は恐ろしい化け物となった・・・。あの世界がどうなったのかわからない。巨大なメテオが落ちてしまったのなら、もうなの星はなくなってしまったはず。私はそのメテオを呼び、星を破壊するような化け物を産んだの。」
「ゲート事故のことか?」
「違うわ。私がここに来たことに関係はしていても、ここは私のいた世界とは違う所よ。」
よくわからなかった。女は深いため息をついた。
「抱いて、愛してあげられたら・・・。セフィロス・・・。たとえあの子が星を破壊する化け物になったとしても私はあの子のそばで、あの子を愛してあげれば良かった。」
「俺には分からない話だけど・・・。もう遅いのか?その間に合わないのかと言うことなんだが・・・。」
女は首を振った。この時俺は随分らしくないことを口走ったらしい。
「後悔してるなら、それでもう許されてるんじゃないのか?」
女は優しく笑った。どうもこの青い瞳には弱いらしい。引き込まれる。自分を見失う。
「死ぬ方法なら心当たりはある・・・。」
「たぶん無理よ。・・・ブルースハープの少年。私は彼とは違うから。」
何故と聞く気にはなれなかった。
女は思い直したように顔を上げた。
「優しいのね、スパイク。あなたは早く気がついてあげてね、本当にあなたのことを思ってくれる人のこと・・・。」
「あ?」
女はくすくすと笑った。
「あんた、やっぱ美人だな・・・。」
その時俺はもの凄い殺気を感じた・・・。
作/猫宮よしき