バウンティー・ハンターの心得

 「バウンティー・ハンター、平たく言うとー賞金稼ぎになるにはー、ISSPに申請書を出しー、許可をもらってくださいー。いいですかぁ、このときぃ、自分の身分を証明するものをー必ずー持参してくださーい。」
「ビック・ショット」の前に必ずやる番組があった。
それがこの「バウンティー・ハンターの心得」だった。
今日も情報の前にこの頭の軽そうなねぇちゃんの解説(?)が入る。スパイクはいらいらしながら持っていた缶ビールを握りつぶした。
「いつまでやるのかしらね、これ・・・。」
フェイはあきれ果ててついエドと画面の中のねぇちゃんを見比べた。エドはキョンとしてフェイを見上げた。
「安心しなさいよ。あんたのがまだましだから。」
それもどうかと思うと思いつつもフェイはため息交じりにソファに腰をおろした。


「えーとぉ、じゃあお待ちかねのー賞金首の情報でーすぅ。なーんとぉ、きょうはぁ、ビックショットのお二人がぁ、お休みですぅ。なのでぇ、このまま、私が代わりにお伝えしまーすぅ。今日はものすごーい大物ですー。えーとぉ、名前はー。えー、何これー、こんな名前の人ほんとにいるのー。もー、じゃぁ、よみますぅ。エドワード・ウォン・ハウ・えーとぉ・・・、あ!ハウ・チブルスキー4世。はぁ、言えたぁ・・・。なんとぉ、賞金はー。一億ですぅ。何したのかしら、この人・・・。」

「あ、あんた何したのよ・・・。」
「えへへー。」
エドに詰め寄るフェイを尻目にスパイクは画面を食い入るように見つめている。
「ちょっと!あんた!まさかエドを捕まえようとか思ってんじゃないでしょね!」
「そりゃお前じゃないのか。」
スパイクは画面を指差しながらフェイにタバコの煙を吹きかけた。
「よく見ろ。」
言われるまま、食い入るように画面を見たフェイはがっくりと肩を落とした。
「10ウォン・・・・。たったの・・・・10ウォン。」
「そうだよー。だってエドがぁ、ジェットに頼んで出した依頼なのー。」
「何のためによ!」
「だってー、ジェットが、人を探すときの一番早くて確実な方法だって、言ったよ。」
「誰が誰を探すって?」
「エドのぉ、パパさんかぁ、ママさんー。」
フェイは急に口をつぐんで、不機嫌そうに自分の部屋に戻っていった。

「賞金稼ぎのみなさーん。がんばってくださいねー。」

「フェイのやつどうしたんだ。飯だって言うのに。」
「ほっとけよ。」
スパイクは少し楽しそうだった。ジェットは首を傾げるだけだった。

このジェットの入れ知恵は、後々この二人の首をしめることになるとは誰が思っただろう。
 エドが無事、父親に再会するのは遠くないことになる・・・。

作/猫宮

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