たまごのお話
 ぼくんちの冷蔵庫に入っている卵は、 若いころとても凄い冒険をしたそうです。

 むかしむかし、あるところにたまご男爵という男がいました。
ある朝、たまご男爵が山へ芝刈りに行くと、 なんと、2匹の金の卵を生むニワトリと、1匹の金のシマウマを生むニワトリがいました。 全部飼うのはたいへんなので、たまご男爵は金のたまごを生むニワトリを1匹だけ家につれて帰りました。
 しかし、ニワトリが生むのは普通の卵ばかりで、金の卵など生む気配はスズメの涙程もありませんでした。 仕方がないので、たまご男爵は3年間の間パリへ留学することにしました。
 たまご男爵は最初の3ヶ月は真面目に勉強しましたが、日本に残して来た妻、ベティーのことが忘れられず、 毎日のように部屋の模様替えをしていました。 そんなたまご男爵を見かねた通りすがりの英国紳士がたまご男爵に
「そんなに毎日模様替えをすると体に毒だよ、これで暖かい物でもおたべ。」
といって、50ユーロくれました。
 そのお金でたまご男爵は、あつあつのおでんを買って食べました。夏なのに。 たまご男爵はその英国紳士にとても感謝して、その日から部屋の模様替えをするのをやめるようになりました。  こうして、ベティーと金の卵を生むニワトリは末永く幸せに暮らしました。

そんなわけで今日もぼくんちの冷蔵庫には卵が入っています。


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