2011/03/12 CentOS5.5





宛先により別のプロキシーへルーティングする

他のパターンはプロキシーサーバを構築する(解説)を参照してください。

組織が大きくなってくると、社内システムや連携会社など特定のドメイン宛の接続はインターネットではなく別のプロキシーへ任せる仕組みが必要になってきます。


例えば通常のインターネット接続はプロキシーを使って出ていくが、会社間の共同体によるシステムを使う場合は別のプロキシーへ任せる、といった運用です。

インストール
コンフィグの編集
動作試験


インストール
インストールは特に苦労することはありません。
比較的大人しい部類に入ります。

GUIからのインストール
「ソフトウェアの追加と削除」からインストールする場合


コマンドからのインストール

#yum install squid

インストールしたら、GUIかコマンドにてファイアウォールを解放します。
ここでは80ポートか8080ポートを使用するので、ポートを解放します。



コマンドの場合は/etc/sysconfig/iptablesを編集し、

-A RH-Firewall-1-INPUT -m tcp -p tcp --dport 8080 -j ACCEPT

という行を最終の「Reject」行の前に挿入します。
その後、iptablesサービスを再起動します。

コンフィグの編集
/etc/squid/squid.confを編集します。
コンフィグは前方参照の性質があるので、呼び出される情報は先に宣言されていなくてはなりません。
それぞれの設定項目は例が示してあるセクションに記述するのが無難です。
squid.confは非常に長いのですが、面倒でもそのセクションまで移動しましょう。


下位プロキシー(図中proxyA

cache_peer
上位プロキシーを指定します。コンフィグの末尾に追加したりせず、ちゃんとcache_peerセクションに記述するとトラブルが少ないでしょう。
上位プロキシーの待ち受けポート番号を指定します。以下のパラメータでは8080。
cache_peer  proxyB.example.local parent 8080 0 no-query

http_port
まっさきに編集すべきはプロキシーとして待ち受けるポートです。
覚えにくい3128なんてデフォルトポートを使ってる状況はまずないでしょう。
80や8080がメジャーです。
http_port  8080

icp_port
ICPのポートなんてのも、兄弟プロキシを使わないので要りません。
デフォルトの
icp_port 0

visible_hostname
エラー画面を表示したとき、どこのサーバかを示します。複数のプロキシサーバを組む場合、どこでエラーが発生しているかを判断できます。
visible_hostname squidA.example.local

http_access
デフォルトではプロキシへアクセスできるセグメントはローカルホストに限定されています。
とりあえず全てのクライアントを許可します。「http_access deny all」行よりも前に追加します。
http_access allow all

もしプロキシー接続できるクライアントを制限したいのなら、「http_access allow all」の代わりに以下のACLを追加します。
Ver2.0以前
acl CLIENTS src 192.168.1.0/255.255.255.0
http_access  allow CLIENTS

Ver3.0以降
acl CLIENTS src 192.168.1.0/24
http_access  allow CLIENTS

acl
指定ドメインのプロキシールーティングです。
この場合は、yahoo.co.jpで終わるドメイン全てを、proxyBへ転送します。
ドメイン名の指定は、ドメインの前にドットを忘れないよう「.yahoo.co.jp」という指定をします。
acl yahoo dstdomain .yahoo.co.jp .yimg.jp

cache_peer_access
特定のドメインはサイドプロキシを使用するように指定します。
これがないと全てのインターネット閲覧がサイドプロキシへ転送されます。
cache_peer_access proxyB.example.local allow yahoo

never_direct
指定ドメインの直接取得を明示的に禁止します。cache_peer_accessでドメインが指定してあっても、そちらのプロキシがダウンしていたりすると、インターネット側へリクエストを流してしまいます。
明示的に禁止することで、サイドプロキシがダウンした場合、「無事」に閲覧できなくなります。
never_direct allow yahoo


最後がallowで終わっていれば、そのセクションの暗黙の結果はdenyとなります。
他にもnever_directやalways_directが混じってくると、複雑になるのでコンフィグはなるべく簡潔にします。
よくよく試験をして、サイドプロキシーへインターネット閲覧のリクエストが流れ込まないようにしておきましょう。


設定を保存したらサービスを再起動します。

#service squid restart


サイドプロキシ(図中proxyB)

http_access
通常、下位プロキシーをバイパスしてクライアントたちが直接上位プロキシーを指定しないよう、下位プロキシー以外は拒否するのが普通です。デフォルトで「http_access deny all」が指定されているので、許可端末を指定します。
Ver2.0以前
acl proxyserver src 192.168.1.100/255.255.255.255
http_access allow proxyserver

Ver3.0以降
acl proxyserver src 192.168.1.100/32
http_access allow proxyserver


http_port
待ち受けポートです。下位プロキシーのcache_peerで指定されるポートに記述します。
ファイアウォールでポート閉じてるとか、初歩的なミスに注意しましょう。
http_port  8080

visible_hostname
エラー画面を表示したとき、どこのサーバかを示します。複数のプロキシサーバを組む場合、どこでエラーが発生しているかを判断できます。
visible_hostname proxyB.example.local

設定を保存したらサービスを再起動します。

#service squid restart


動作試験
squidのアクセスログを監視します。

上位プロキシ、下位プロキシの両方で以下のコマンドを実行して、ログを監視します。

#tail -f /var/log/squid/access.log

YAHOOドメインを閲覧した場合はProxyBのログも流れ、その他のインターネットドメインを閲覧した場合はProxyAのみログが流れれば成功です。
すでにProxyAにキャッシュが溜まっていると、サイドプロキシを使うはずのドメインでもキャッシュで解決してしまいProxyBへアクセス形跡がないことがありますので、ときどきキャッシュをクリアします。

#service squid stop
#rm -rf /var/spool/squid/*
#squid -z
#service squid start

なお、アクセス拒否のキャッシュがされているとそれを返されるので、いろいろなURLでアクセステストをしてみましょう。

あまりコンフィグをあちこちイジっていると、always_directのアクセスを拒否とか、http_accessで下位サーバを拒否しているとか、許可されてクライアントでブラウジングはできるものの意図しない動作まで許可しているとか、チェック項目が増えます。
サーバが二台に増えたのでコンフィグの見通しも悪く、トラブルも複合要因になり、複雑化しやすいです。
コンフィグはその都度どこを編集したかこまめにメモを取るなどしないと、同じ設定を再現できなくなりますのでご注意を。






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