●エジプト式掛け算で気分転換

2007年11月5日

 今日小学校ではあたりまえのように教えられてきている四則計算つまり、「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」であるが、実はそのやり方は過去現在未来万国共通ではなかったようなのです。和算というものもあれば、最近ではインド式の計算が右脳を刺激することで話題になっておりますが、こちらが本日注目するのはエジプト式の掛け算です。エジプトといっても、ピラミッドの時代、紀元前1650年頃の記録「リンド・パピルス」や「モスクワ・パピルス」に残されている算術です。
 この当時、今のわれわれなら当たり前のように小学校で学ぶ九九(くく)は、掛け算で用いられなかった。「じゃあどうやって計算するんだよ」と聞かれれば、当時のエジプトの人はこう答えるでしょう。

「そんなのいらないよ。足し算と2倍にすることだけわかれば十分だよ。」

 つまり計算をするにはどのような複雑な式でも、「2倍にすること」と「足し算」ができればいいということです。中学校レベルならなんとか九九の暗記だけでいいけれども、高校数学レベルになると、20の位までは暗記していないとよっぽどスピードがついていかないという経験をなされたことはないでしょうか。こちらは勉強机の下に、30×30までは書いて忍ばせておいたクチなのですが(あと、円周率3,14に20をかけた数までくらいも、机の下にいれておいていた)。
 結局覚えたもの勝ちというのが、九九と筆算を利用した現在の日本の掛け算のやりかただと私は考えます。この方法の利点は、九九のように、ナントカかけるホニャララは○○ということさえひとつでもおおく暗記していれば、どれだけでも早く計算できるということですね。スピードを求められる現代社会にはうってつけの算法ではないでしょうか。…学習者は覚えることだらけで負担は多いと思いますが、そこは岡津式理論でいうところのクンフーをつんでください(笑)。

 閑話休題、では実際にエジプト式をここで実践してみましょう。

[問い]
 21×13をときなさい


@まずは下図のように21とかきます。そしても一方の、13という数字を覚えておきます。そして、同じく下図のように「1」とかいておきます。


21  



AAとBに書き込んだ数字を、順番に2倍 2倍としていきます。「13」を超えたあたりでやめておきましょう。


21 2
倍↓
42 2
84 4
168 8
336 16

Bここで2倍しておくことは終わりです。次は足し算に入ります。右側の数字を見ていって、この数字を使って、@で覚えた数字を作ってください。…つまり1 2 4 8 16を使って13を作ってください。
 
カンタンですね、
1と4と8ですね。


21  
42   2
84   4
168   8
336    16

Cこれが最後です。次は、1と4と8の左側の数字をすべて足してください。
 すなわち…
21+84+168ですね。
これを計算すると273になります、これは筆算でやったのとまったく一致します。


 さて、いかがだってでしょうか?この計算を解説しましょう。これは「2進数」を用いた計算方法なのです。この例題の場合は…普通なら
 
21×13でやるところを
 
21×1+21×4+21×8でやっていると同じことなんですね。
13を2進数でどのように分解するか…という意味で、あの図を利用して1をえんえんと2倍しています。
この方法は時間こそかかるものの。2倍2倍としていくので、単純といえば単純です。しかし、分解して足す数が3桁以上の数になるとめんどくさいでしょうね〜。
とりあえず、ヒエログリフを読みながら、この計算をやると…エジプト人になれた気分になれる!?かも!!ぜひ一度お試しくださいな。

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出典:富永裕久著 図解雑学 フェルマーの最終定理(ナツメ社 1999)