●古馬牝馬戦線を考える 繁殖か?それともレースか!?●

2005年9月4日 加筆修正 2007年9月13日
(これはヴィクトリアマイルが新設される前にかきました、いいね〜ヴィクトリアマイル))


 スピード競馬が進んでいる。それは海外血統を取り入れたり、競争番組体系を工夫した成果だろう。昔から牝馬の短距離GTウイナーも少なくは無い。イットーにダイイチルビーなどをはじめ、ノースフライトにビリーヴ、フラワーパークは牡馬をなで斬りにする力を持っていた。と、ここまでは短距離の話、。ここからスタミナを要求される中距離〜長距離の話なのだが、近年牡馬・牝馬混合のレースで中距離GTを勝った馬はいるだろうか?最近ではスィープトウショウが宝塚記念を、少し帰ればエアグルーヴが秋天を制したくらいで数えるほどしかない。ウォッカのダービー制覇や、ヘヴンリーロマンスの秋天制覇も記憶に新しいがほかはすべて牡馬が制覇しているのだ。大レースに勝てない牝馬はどこにいくのだろう?

 牡馬と牝馬は競争能力にそもそも違いがあるので斤量も牝馬のほうが(たいていのレースでは)2キロ軽いというのは有名な話である。そもそも性差を考えて牝馬限定戦が存在するわけだ。そのために設置された牝馬クラシック戦線は、毎年非常に華やいでいる。毎年数多くの名馬が出ている。牝馬クラシック戦線は各ステップレースが充実しており、秋華賞のあとには古馬牝馬と激突できるエリザベス女王杯で、新の女王決定戦をすることができる。

 しかし、このように充実した牝馬クラシックの時期を終えると、乙女たちは古馬牝馬の世界に投げ出されることになる。古馬の世界を「たとえ」で表現するとクラシックの世界を温室とするならば、「古馬」は荒野に投げ出されたも同然な状態なのである。というのも、あまりにも古馬牝馬戦線が充実していないと私は考えているのだ。牡馬と牝馬の混合が当たり前で、牡馬と渡り合っていけない牝馬はナントカ牝馬ステークスという非常にチープな名前(失礼)のGV程度のレースに出るしかなくなるか楽な相手を求めてローカル回りをするのが現状である。

 この現象は牝馬界全体の威勢を削ぐことになりはしないだろうか。どういうことかというと、ストレートに言えば馬券の売り上げ減少である。牝馬の目指すべきレースが現在の段階では「エリザベス女王杯」(GT)くらいしか無いのだ。たとえば牡馬との相手関係では難しい、かといって春の天皇賞などは距離に不安がある。牡馬戦線に混じって果たして勝てるのか?このように考えると現在の古馬牝馬の出られるレースというのは非常に限られているのだ。馬主や調教師の気分の気分になれば勝てるレースに出たほうがよい。となると、ナントカ牝馬ステークスを選ぶよりほかはない。しかし、そんなレースに出る牝馬は、牡馬に勝てない牝馬か…条件戦からようやくオープンになった馬しかいない。必然的に注目度は下がり、馬券の売り上げは期待できない。
 この状態がひいてはなにをもたらすのかというと、極論になるが牝馬の海外遠征の気勢を削ぐことになることだ。というのも古馬牝馬は現段階では秋のエリ女を目指すしかなくなる。秋といえば…海外ではそうBCや凱旋門などの大イベントが目白押しなのである。このような場に果たして今の日本の牝馬を自信を持って送り出せるだろうか?もしも、ある牝馬が春に「大阪杯」⇒「春天」⇒「金鯱」⇒「宝塚」というローテで牡馬に惨敗したら、「海外に行こう!」なんていう気勢は育つわけが無い。せいぜい、「ああ、相手が牡馬だから。」や「距離不安だった。」などと毎年見たような言葉を聴いて牝馬界の無力さを感じるのだ(多分ね)。

 もしも、春に古馬牝馬のGTがあったとしよう。そうしたら「春の女王」として大いに盛り上がり、その成果を下地にして秋に海外に遠征するプランができはしないだろうか?ファンの注目も集まるだろう!フィリーズ&メアタフとか…それはいいすぎかもしれないけど、ローテーションの幅を世界に広げていくには必要ではないだろうか?そしてそのGTはクラシックディスタンスであるべきだ…というのが私の持論だ、というのも『スタミナは牝馬から』という言葉がある。産駒にスタミナは母から伝わりやすいといわれる。
 しかし長距離のレース体系は正直満足ではないと思われる。牝馬で長距離を勝った馬なんていうのは限られている。スタミナを持った牝馬をはかる…繁殖牝馬として能力測定のレースが少なくは無いだろうか。私は最近のスピード競馬化の原因はここにないだろうかと考える。古馬牝馬が短距離で活躍するケースが多い。その傾向がそのまま産駒に伝わっている…そうではなかろうか?短距離に向かない牝馬が活躍しにくいシステムになってもいるのだ。


 さて、しかし現在のシステムでもよいところはある。それはあまり目標にするべきレースが無いからこそ引退して、そのまま無理せず引退できて繁殖入りできることである。常に勝利を目標とし続けて馬が壊れてしまったらそれは悲しいことだ。だから今の牝馬は『出られるレースが限定されているぶん引退しやすい』環境にあるともいえる。牝馬は引退しても繁殖に入れる率は牡馬と比べるべくも無く高い。牡馬は走ってタイトルを得て、「売れる」種牡馬となるべく多く出走できるべきであり、牝馬は無理なく使われて繁殖に一頭でも多く入るべきである。そう感じさせる番組である。まあそう考えると非常に合理的といえば合理的ではある。どっこい、レースがなくて牝馬が「勝つために」出たくても出れないというのもまた悲劇なので、牝馬限定レースの改革をすべきではないか?と私は考えている。新設することのメリットは以下に示すとおりである。

『競争能力を見抜く(そのためにも多くの距離体系を設けるべきである)』
『古馬牝馬界が盛り上がり、ファンの注目度が上がり馬券の売り上げが上昇するだけでなく、海外との交流も活発化する。』
『息の長い活躍の場を牝馬に与える。』

以下にそのための具体的な案を記したい。

(1)レース提案 
(2)レース名変更(そもそもナントカ牝馬ステークスなんていう名前が悪いので、注目度を挙げるために固有名詞を与える)

⇒新設もしくは時期をずらしたレース ⇒牝馬クラシック 太字 G2レース
⇒古馬牝馬3冠該当レース ⇒海外レース 太字+斜線 G1レース
⇒現行レース 赤字 ⇒牝馬限定戦 下線 オープン
提案:古馬牝馬ローテーション(新春⇒春)
1月 2月 3月 4月
淀短距離S(1200)OP<別> シルクロードS(1200)G3<別> 雛祭S(1000m)G3<別> 高松宮記念(1200)G1<定>
天女S(1400)G3<ハ> 京都牝馬S(1600)G3<別> 中山牝馬S(1800)G3<ハ> マイラーズC(1600)G2<別>
京都金杯(1600)G3<ハ> 小倉大賞典(1800)G3<ハ> 中山記念(1800)G2<別> ダービー卿CT(1600)G3<別>
中山金杯(2000)G3<ハ> 京都記念(2200)G2<別> 中京記念(2000)<ハ> 大阪杯(2000m)G2<別>
AJCC(2200)G2<別> 歌劇団S(2400m)G2<別> 日経賞(2500m)G2<別>
日経新春杯(2400)G2<ハ> ダイアモンドS(3200)G3<ハ> 阪神大賞典(3000)G2<別> 大和撫子杯(2500m)G1<定>
トウメイ記念(3200)G3<別>

 短距離(高松)を目指す牝馬と長距離(大和撫子杯)を目指す牝馬に路線が分かれる。トウメイ記念のトウメイは天皇賞を制した名牝から。歌劇団Sは大和撫子杯のステップレースとして設置。もちろん競馬場は阪神。古馬牝馬三冠の第一戦は古馬牝馬のみの長距離戦となる。メンバー的には前年のオークスかエリ女の再現となるが、距離が伸びるのでスタミナ測定のためのレースとなる。3月に雛祭Sを作ったが…正直コレは必要かどうかギモン(汗)。短距離は今のままでも充実しているように思われるナァ。天女Sはなんとなく(笑)これも要らないかも。

提案:古馬牝馬ローテーション(初夏⇒夏競馬)
5月 6月 7月 8月
京王杯SC(1400)G2<別> TV愛知OP(1200)OP<別> バーテンバーテンC(1200)OP<ハ> アイビスSD(1000)G3<別>
函館スプリントS(1200)G3<別> 札幌日刊スポーツ杯(1200)OP<ハ>
谷川岳S(1600)OP<別> 安田記念(1600)G1<定> 米子S(1600)OP<ハ> 関谷記念(1600)G3<別>
都大路S(1600)OP<別> 北九州記念(1800)G3<別> 札幌日経OP(1800)OP<別>
七夕賞(2000)G3<ハ> クイーンS(1800)G3<別>
新潟大賞典(2000)G3<ハ> エプソムC(1800)G3<別> 函館記念(2000)G3<ハ> 新潟記念(2000)G3<ハ>
メトロポリタンS(2300)OP<ハ> 愛知杯(2000)G3<ハ> マーメイドS(2000)G3<別> 小倉記念(2000)G3<ハ>
天皇賞(3200)G1<定> 金鯱賞(2000)G2<別> 宝塚記念(2200)G1<定> 札幌記念(2000)G2<別>

 ここは新設レースはありません。というのも夏競馬は牝馬がけっこうがんばってますし…あまり要らないでしょうね。うん(多分)。さて、ここで光る?のは安田記念、一応自分は古牝馬三冠の第二戦に位置づけています。洗練された古馬牡馬相手のレースとなる上、いっきに900Mの距離短縮。かなり困難な闘いになるでしょうが、これを乗り越えてこその牝馬三冠といえます(酷?でもこの時期に牝馬G1を増やす必要も無いとの判断、だって6月はダービーにオークスがあるでしょ!)。

提案:古馬牝馬ローテーション(秋⇒冬競馬)
9月 10月 11月 12月
セントウルS(1200)G3<別> スプリンターズS(1200)<定> アイルランドT(1600)OP<別> CBC賞(1200)G2<別>
スワンS(1400)G2<別> 阪神牝馬特別(1600)G2<別>
京成杯オータムH(1600)G3<ハ> マイルCS(1600)G1<定> ターゴイスS(1800)OP<ハ>
中日新聞杯(1800)G3<別>

クリフジ記念(1800)G2<別> 毎日王冠(1800)G2<別> 京阪杯(1800)G3<ハ> 鳴尾記念(2000)G3<ハ>
六甲S(2000)OP<別>
福島民報杯(2000)OP<別> 福島記念(2000)G3<ハ> 有馬記念(2500)G1<馬>
朝日チャレンジC(2000)G3<別> 天皇賞(秋)(2000)G1<定> ジャパンカップ(2400)G1<定> ステイヤーズS(3600)G2<別>
(秋華賞)G1(2000)G1<3牝定> エリザベス女王杯(2200)G1<定> アルゼンチン共和国杯(2500)G2<ハ> 香港スプリント(1200)香G1

オールカマー(2200)G2<別> 京都大賞典(2400)G2<別> BCフィリーズ&メアタフ(1800)米G1<馬> 香港マイル(1600)香G1
道新杯(2600)OP<ハ> 嵐山S(3000)OP<別> 凱旋門賞(2400)仏G1<馬> 香港カップ(2000)香G1
香港ヴァース(2400)香G1

 大きな目玉はエリザベス女王杯と秋華賞を一ヶ月ずらすことです。つまり牝馬のクラシックは8月から始まる過酷なものとなるわけなのですが、11月のBCメアタフに挑戦できるということを重視した番組編成としました。というのも…秋天を目指す現在のローテで、つまり毎日王冠や京都記念でなかなか牝馬が勝てないという現実があるからです。勝てないレース編成よりは、番組全体を見直したほうがいいかな、という思惑からです。
 さて、古馬牝馬3冠のクライマックスのエリ女は3歳牝馬との激突になり、まさしく女王決定にふさわしい番組です。エリ女へのステップレースが無いのは夏競馬のローカルで牝馬が勝っているからです。年末はやっぱり香港ということで(笑)。クリフジ記念は府中牝馬ステークスの代わりです。

[付録:ある名牝の一生]
これは冗談記録です、上のようなローテでやったらこんな名牝が産まれる可能性がある!??

スペシャルツバキ
年/月 レース名 距離 人気 着順 備考
04/10 新馬 1200 新馬 1 1
11 ファンタジーS 1400 G3 1 1
12 阪神JF 1600 G1 2 1 この年3戦3勝
05/3 フィリーズR 1400 G2 1 1
4 桜花賞 1600 G1 1 1 クラシック一冠
6 オークス 2400 G1 1 1 クラシック二冠
8 ローズS 2000 G2 1 1
9 秋華賞 2000 G1 1 1 クラシック三冠達成
10 エリザベス女王杯 2200 G1 1 1 5冠目
11 JC 2400 G1 3 2
12 有馬記念 2500 G1 4 2 この年8戦6勝
06/3 歌劇団S 2400 G2 1 1
4 大和撫子杯 2500 G1 1 1 古馬牝馬一冠
6 安田記念 1600 G1 2 1 古馬牝馬二冠
9 エアグルーヴ記念 1800 G2 1 1
10 エリザベス女王杯 2200 G1 1 1 古馬牝馬三冠達成
11 BCフィリーズ&メアタフ 1800 米G1 1 1
12 有馬記念 2500 G1 2 1 この年7戦7勝

提案2

チープなナントカ牝馬ステークスという名前を変える。これも牝馬界が盛り上がらない理由のひとつかもしれない。
だって、地名+牝馬ステークスなんてどれも同じに見えてしまう。ちゃいますかぁ(笑)?というわけで以下に提案します。

2月:京都牝馬特別⇒芸者ステークス(京都といえばゲイシャではないでしょうか、舞子でもいいんでづけど)
3月:中山牝馬S⇒桃花賞(いいんじゃない?
6月:愛知杯⇒かきつばたS(愛知といえば伊勢物語のかきつばたでしょう!
10月:府中牝馬S⇒エアグルーヴ記念(企画1ではG2に昇格してました。
12月:阪神牝馬特別⇒タカラジェンヌS(宝塚だし…


 さて、かなりふざけた提案ばかりいたしましたが、みなさまどうでしょうか。このクソ冗談のような記事が、このように考え直す機会になればよいと思います。ただ、牝馬限定レースを増やすと、現在みたいに果敢に挑戦するといったことが少なくなるかもしれませんがね(笑)。あと懸念される問題としては、繁殖入りが遅くなって、競争に酷使されて肝機能が低下した繁殖牝馬がたくさんできるかもしれません。「名牝必ずしも名繁殖牝馬たりえず」とはよくいったことですが…なにはともあれ、「競馬界が盛り上がること」「日本競馬のレベルアップ」そして「楽しい競馬」のために、日々がんばってほしいと思いますね!!そして我らファンにできることは、こうやってくだらないこととはいえ、競馬についてアツく語ることではないかと思います。

ね☆


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