3.システムについて

 ここで言う「ゲームシステム」とは、ゲーム世界での出来事を表現するための決まりごとのこと全般を指します。

3-1.キャラクターに関するシステム

 まず最初に、ゲームにおいて重要であるキャラクター*について述べておきましょう。

3-1-1.能力値
 まず、キャラクターの基本的な特徴を表す数値が「能力値」や「特性値」と呼ばれるものです。さらに、能力値は表すべきキャラクターの特徴ごとに「体力」「知力」「敏捷性」などの個々の数値に分けられることが多く、これらの各数値によって「力の強いキャラクター」や「頭の良いキャラクター」などが表現されます。また、ゲームによっては「嗅覚」「視覚」「聴覚」といった感覚器も能力値化されているものもあります。

3-1-2.職業
 次に職業(クラス、ジョブ)についてですが、大半のゲームでは戦闘能力のある職業が設定されることが多い様です(ゲームによっては乞食などの職業もあります)。さらに、職業は4つに大別されます。すなわち、対象への物理的攻撃を得意とする「戦士」。攻撃的な魔法*を行使できる「魔法使い」。回復系の魔法を行使する「僧侶」。多彩な特殊能力を持つ「盗賊」です。ほとんどの場合、この4種類とその組み合わせによるバリエーション(魔法戦士など)で職業が構成されている様です。また、多くのゲームでは職業に就くための必要能力値が設定されているようです。たとえ必要能力値が設定されていなくても、能力値による職業への適性は生じます。実際「力の弱い戦士」や「頭の悪い魔法使い」などをプレイできるゲームもありますが、メリットは少ないでしょう(TRPG*で上手にプレイすると面白いのですが)。
 また、職業を特定せず、技能(スキル、アビリティ、タレント)によってキャラクターの個性を表現するゲームシステムもあります。この場合、キャラクターは職業の枠にとらわれることなく、キャラクターの特徴を設定することができます。つまり、武器攻撃と魔法の技能を同時に選択したり、僧侶の能力と盗賊の能力を合わせ持ったキャラクターなども作成可能です。もっとも、ゲームによっては技能の組み合わせや、取得に制限が設けられていたりすることもあります。この、技能によるキャラクター能力の取得という概念を拡張して、キャラクターの生い立ちや性格までも規定のポイントを消費して取得していくシステムのゲームもあります。

3-1-3.成長システム
 最後にキャラクターの成長システムについても触れておきましょう。時折、RPGにはキャラクターの成長要素不可欠であるかのような表現を見かけますが(「成長要素のあるゲーム=RPG」のような表現すらあります)、実際は「1.RPGとは?」で述べたように、ロールをプレイすることが主なので、キャラクターの成長要素が無くてもRPGとして成り立つはずです。しかし、キャラクターが危険を乗り越えて得た経験をプレイヤーが表現するのは難しいので、経験値(EXP、エクスペリエンスポイント)と呼ばれる数値が考えだされ、この数値が一定の値に達すると「レベル」と呼ばれるキャラクターの強さの段階を表す数値が上昇します。また、前述のスキル制のシステムの場合、スキルごとに設定されたレベルが上昇したり、スキルの成功率の数値そのものが上昇します。ゲームによってはキャラクターにレベルを設定していない場合もあり、その場合は得られた危険の度合いによって、直接スキルの数値や成功率、能力値が上昇するシステムであることが多い様です。こうしたシステムによってキャラクターは強くなっていき、さらに困難な(プレイしがいのある)冒険に挑戦できるようになる訳です。

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3-2.戦闘に関するシステム

3-2-1.物理戦闘
 ここで言う物理戦闘とは、魔法などによらない戦闘を指します。
 ゲームシステムによっては通常の武器(剣・斧・槍など)による戦闘の他に、極めて接近した状態での戦闘(投げや関節技が使用される)や、弓などによる遠距離からの射撃戦闘などが設定されています。また、ゲームによっては集団戦闘(マスコンバット)が可能なルールもあります。
 戦闘によってPC*が受けた損傷(ダメージ)は大抵の場合、HPの減少と言う形で表されます。詳細なシステムを持つゲーム(ルーンクエスト*等)では、さらに、出血(止血が必要)や大きなダメージを受けた際の衝撃(ノックバック)などに関するルールもあります。実際、HPが最大の時と、残り1ポイントしかない場合で、全く同じ行動が取れるとは思えません。
 コンピューターゲームではその処理能力の限界から、戦闘中に行うことのできる行動には制限があります。実際には、罠の使用や道具の応用(ランプ用油を撒く、棒切れと短剣から槍を作る、剣の柄や鞘での攻撃)などが可能なはずです(スーパーコンピューターを持ってしても無理でしょうが)。ほとんどのコンピューターRPGの戦闘は、出現したモンスターを装備している武器で倒すだけというシステムが多いようです。

3-2-2.魔法戦闘
 ここで言う魔法戦闘とは、戦闘における魔法の使用に関するシステムを指します。
 魔法に関しては、ゲームシステムごとに全くと言っていいほどルールが異なるため、一般論を述べるのは難しいのですが、ゲームで扱われる魔法は三種類に大別できます。すなわち「攻撃」「回復」「補助」の3タイプです。

 攻撃魔法は対象に対して何らかの損害を与える魔法です。与える損害には肉体的なものと精神的なものとがあります。肉体的な損傷を与える魔法としては、炎・冷気・電撃等を作り出すものや、天空から隕石を落下させたり、対象を分解消滅するものまで様々です。精神攻撃の魔法としては、恐怖を与えたり、相手の魔力を減少させるようなものから、相手の精神を破壊して廃人に追いやるものまでありますが、肉体的損傷を与える魔法より種類は少ない様です。

 回復魔法は対象の状態を、損なわれた状態から完全な状態へと戻す魔法です。ゲーム世界によって扱われ方が異なることが多く、魔法ではなく神*に祈ることで効果が得られるものもあります。一般的には、傷の治癒、毒や病気の治療等があり、最も強力なものが死者の蘇生であることが多いようです。また、無生物の修復に限定した魔法もあり、壊れた物品を直すことが出来ます。

 補助魔法は攻撃にも回復にも含まれない魔法の全てを指します。中でも多いのが、防御系の魔法です。物理攻撃・飛翔物・火炎・冷気・電撃・精神・邪悪等への防御魔法があります。補助魔法は、アイディアの数だけ魔法が存在すると言っても良いでしょう。また、非戦闘時に使用する魔法のほとんどが、補助魔法の分類の中に入ると思われます。コンピュータゲームに登場するものはあまりありませんが、TRPGでは多数の魔法が用意されていることが多いです。

 また、これらの他に、召喚魔法と呼ばれる魔法もあります。これは、現在術者のいる地域や世界と異なる場所から、生物・物品を呼び寄せるものです。大抵の場合は精霊界から精霊や魔界から悪魔を呼び出すことが多い様です。

 魔法の使用方法については、コンピュータゲームでは使用する魔法を選択するだけであることが多いようですが、TRPGの場合、魔法の発動そのものに判定が必要であったり(失敗すると発動すらしない)、呪文の詠唱に時間がかかったり、イメージや言葉を組み合わせて、その場で魔法の効果を考え出すようなものもあります(最後のタイプの場合、決まった魔法の名前や効果は最初からルールにありません)。

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