「当日だから、早く見て返さないとネ」

私、は、何故か韓国にいるはずの李潤慶とともに家に向かっている。

しかも手をつないで。




トラブルボーイ - secound -




「明日の朝10時までに店の前のポストに返せばいいんだよ」
「へ〜そうなんだ!」
平凡な会話だ…。
本当はなんで日本にいるのか聞きたくて仕方ないのに、
そのことを聞くと潤慶はさらりと無視してしまう。

「(郭くん家に遊びに来てる、とか…? でもそれなら隠す必要なんてないよね?)」

少し前を、私の手を引いて歩く潤慶を見る。
昔もこうして手を繋いで歩いたことがあったけど、あの頃とは全然違う。
同じくらいだった身長も、今は潤慶の方が10センチぐらい高いと思うし、
触れあってる手も、骨ばっていて大きい。

「(…顔が熱い…かなり赤くなっちゃってるかも)」

いくらサッカー部で男の子の中にいたって、こーゆーシチュエーションには慣れてない。
はぁ、と、つい漏れてしまったため息に、潤慶が振り返った。

「じゃーさ、買い物いこーよ! ビデオは晩御飯の後に見よー♪」

「…はい?」

今なんとおっしゃいましたか潤慶さん。
そういえば買い物お好きでしたよね、はい。
それはいいんです、ええ行きましょうとも買い物に。
しかしそのあと何といいましたか、ビデオをいつ見ると。

「ば、晩御飯!?」
「何食べたい? 
「何って何でもいいけど…じゃなくって!」
「そっかーなんでもいっかー」

まてまてまてまてまてまて。
そ、そりゃーね、実は今日はうちの両親の結婚記念日で二人は旅行、
家には私だけだから大丈夫って言ったらそうですけど、
なんかそれ見越されて話されてるのは気のせいですか、潤慶さん。

「あー懐かしいよ! !」
すっかり連れられて来てしまった商店街で、潤慶が指差したのは、昔よく買いに来た駄菓子屋さん。
「あー! ここまだやってたんだー」
軒先を覗き込んでみると、町並みは変わったというのに、ここだけは昔のままのようだった。
思わず胸がきゅんとしてしまう。
はこれが好きだったよね」
「そういう潤慶こそ、コレはいつも買ってたよね」

私達は顔を見合わせると、ぷっと笑ってしまった。
温かい…まさか潤慶とまたここに来れるとは夢にも思ってなかったけど
過去と現在が繋がって、温かい未来が生まれてる。
こういう瞬間が増えると思うと、歳を取るのも悪くないと思える…。







しばらく歩いていると、
ソースの美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。
行く先を見ると、たこ焼きの屋台が店の前に出ていた。
じーと見ていると、屋台のお兄さんとパチと目が合った。

「カーノジョ♪ カレシに買うてもらわん?」
「へ? い、いえ、彼女とぃぅ…」
「可愛いカノジョに免じて安くしてよ、お兄サン」
「え…」
見ると、潤慶は不敵な笑みで屋台に向いていた。
「男にはマケへんよ」
「い、いーよっ潤慶」
「ぼくは久しぶりだから食べたいんだけど、は食べたくない?」
「え…(そっか! 私ったら自分のことばっか考えてて…)
う、うん、私も食べたいナ」
「じゃー決定♪ お兄さんたこ焼き1コ」
「まいど!」

こうして潤慶に買ってもらってしまった…
思えば私が買えば安く買えたのかも…
あ、でもそれじゃ潤慶の立場が…

「はい、あーん」
「!?」
気がつけば目の前というか口の前に迫り来るたこ焼き。
逃げ場を失った(?)私の口はたこ焼きを受け入れた…

「あふ!!(訳:熱!!)」
「焼きたてだもんネ」
「ふんほんっふいふはふはふ〜っ(訳:不明)」
「あはは! 何言ってるかわからないよ、
大笑いする潤慶を睨みながら、私はやっと食べることが出来た。
「も〜潤慶ってば!!」
「あはははっお腹痛いや…。口は大丈夫?」
「うー熱いよ、かなり」
「そっかー、じゃー消毒してあげよっか」
と、いきなり繋いでいた手が引き寄せられて、
私は潤慶にぶつかりそうになったのを、前の方になんとかよけた。

「あれ、逃げられちゃった」
平然と笑ってタコ焼きを一口、また歩を進め始める潤慶。

まてまてまてまてまてまて―――――――――ッ!!
今何をしようとしましたか潤慶さんッめっちゃ顔ちかかったデスけど!

「? どーしたの、。いくよ」
ニッコリ振り返る潤慶…
こいつぁもしかして郭くんより強敵なのかもしれません、姉さん(誰?)。




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お買い物編でした。趣味:買い物って楽しそうですよね♪


音楽=Finalia/P's MAT
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