それは別段、何の変哲がないけれど、
何故、潤慶がウチにいるんでしょうか…
とりあえず電話をとった私を置いて、
潤慶は買い物袋を持って台所の方へ消えました。
そっちも気になりますが、まずは電話です。
『もしもし、俺、郭』
「え、あ! 郭くん!?」
なんてナイスタイミングなんでしょう、郭くんです。
「あっあのねっ郭くん実は今家に――」
『潤慶がいる、か?』
「そ、そーんなんですよ! どっどっどーしませう」
『…お前、慌ててるだろ』
「え、ええっそりゃー慌てない方が変でしょう!」
『…って慌てると敬語になるよな』
「あ…そ、そうかも…」
『落ち着いて聞いてほしいんだが、まず潤慶は家出したんだ』
「い、家出!?」
『いや、なんというかウチに遊びに来てたんだが、突如出て行ったんだよね』
「はぁ…(なんで郭くんそんなに落ち着いてるのかな…(-_-;))」
『まぁ所在も掴めたし、帰国は明日だから今日は泊めてやってよ』
「は…はぁ!?」
『家、どーせ誰もいないでしょ? じゃ』
ガチャッ ツーツーツー…
…やはり郭英士の方が強敵かもしれません、姉さん(だから誰)。
気を取り直して台所へ向かうと、既に潤慶は料理を開始していた。
「お勝手借りてるよ、て言うんだよね?」
「う、うん…あ、いや、手伝う手伝う」
「いーよ、はのんびりしててよ」
「い、いやいや、お客さんは潤慶なんだから潤慶が――」
「いいんだ、ぼくに作らせてよ」
「でも…」
「心配?」
「う、ううん! そんな事!!」
「んー、じゃぁ手伝ってくる?」
「…うん!」
こうして私達は晩御飯の準備を始めた。
もうそんな時間になっていて、今更潤慶を追い出すことなんて出来なくなっていた。
うーん、確かに郭くんの言うとおり、
今日は家に誰もいないから気にしないくていいと言ったらそうだけど
…それって逆にやばいんじゃ…
や、やだ、別に潤慶を疑ってるんじゃなくって…
「あぶないよ」
耳元で潤慶の声がして、私は我に返った。
「え?」
手元を見ると、もう少しで自分の手も一緒に切りそうになっている所を
潤慶が私の背から手を回して、両手を掴んでストップさせていた。
「わ、わぁ! ごっごめん!」
「ううん、に怪我がなくて良かった」
私の肩越しにそう笑う潤慶。
「考え事でもしてたの?」
「う、うん…ごめん、気をつける」
「うん♪ の指入りなんてごめんだからね」
「あはは、オッケ」
そう言うと、潤慶は私の手を離して鍋を覗きにいった。
手に残る感触、背中の温もり…
…やばいのは私の方かもしれません、姉さん(…)。
料理編でした。潤慶はお母さんのお手伝いとかしてそうなので、
ある程度はできるんじゃないかな〜と思ってます。
音楽=Finalia/P's MAT
ドリームメニューに戻る