休日の夜
二人で作った晩御飯(と言っても、ほぼ潤慶が作ってくれたので美味しかった←ぉぃ)を食べた後、
予定通りビデオ鑑賞会を開始し、やっぱりホラーだった映画に
始めは見ないようにしたり、別の部屋に行ったりしてたんだけど
そのうち一人でいる方が怖くなって
いつの間にか潤慶に抱きついていてしまっていた。
「あ、あのさ、…ちょっと見にくいな」
「ご、ごめん…!」
我に返って、私は潤慶を放した。
「…やっぱり、って怖いのダメなんだね」
「やっぱり…って、わざと!?」
「ううん、そんな気がしただけ、今わかったよ」
そう言って笑った顔には不敵の笑み
背中がゾクリとした…まるで別人…
「ねぇ…もしぼくが…」
潤慶が私の背中に手を回す。
「う、うん…」
私は逃げることも出来ず、簡単に引き寄せられる。
「…この映画の主人公みたいに、取り憑かれちゃったらどうする?」
「え…?」
テレビを見ると、取り憑かれた主人公が自分の恋人の喉元を噛み砕こうとしているシーンだった。
その瞬間、柔らかい感触が首筋からする。
「っ!」
潤慶が私の首筋の頚動脈を唇でなぞっている。
「やっやだ! 潤慶!?」
潤慶の肩を掴んで離そうとするが効かない。
ゾクゾクする、手が震える…
この人は本当に潤慶…?
違う、そう、潤慶じゃない…
だって私が知っているのは、小学校の頃の潤慶で、
あれからもう何年も経ってる。
あの頃より潤慶はずっと男の子っぽくて、ずっとカッコよくなっていて。
あの試合なんて、別人みたいだった。
そう、もう私がずっと思ってた潤慶はいないんだ…
「…!?」
目を開けると、潤慶が驚いた顔をしていた。
「え…?」
「ご、ごめんっ冗談だよ! だから泣かないで!」
「へ…」
目に指をやると濡れていた。
今度は柔らかく抱きしめて、背中をなでてくれる潤慶。
「ゆんぎょん…っ」
その体を抱き返す…温かい潤慶。
やっぱり潤慶は潤慶だと思いたい…
どんなに変わっても、あの頃の潤慶と今の潤慶は繋がっているって、だから…
「潤慶…どこにもいっちゃやだよ…」
「…、…英士から聞いたの?」
「え?」
「電話、英士でしょ?」
「あ、うん、そうだけど…?」
なんで郭くんが出てくるのかわからなかった。
「英士、何て言った?」
「え、うん、なんか潤慶が家出したって…」
「あははっ」
「ふふ…国境を越えて家出なんて凄いね」
「っはは、こっちには、挨拶に来たんだよ」
「え…?」
「ぼく、実はスペインに行くことになったんだ」
「…え…」
そういえば、あの試合にスペインのスカウトマンが来てるって聞いた。
生き残るために、韓国の選手は必死になってるんだって…
「やっぱり韓国とスペインじゃ同じ外国でも距離が違うし
向こうに行ったら、今よりもっとサッカーばっかりなると思うし…」
「そ、そう…」
「ねぇ、あのソウル選抜と東京選抜の試合、来てたよね?」
「う、うん…」
「ぼくは凄く嬉しかった。は東京選抜のために来たってわかってても、
君が観客席にいることが凄く嬉しかった。本当は勝ってカッコイイとこ見せたかったんだけどね」
潤慶が笑う、優しく笑ってる。
なのに、私は涙がぽろぽろ流れて、止まらなかった。
「…あの時も、泣いてたよね。
ぼくがバイバイって言っても、君は泣いてばっかりで…
ぼくは向こうで何度も、その泣き顔を思い出したよ」
「ご、ごめん…」
「だから、いっぱい笑った顔をみたいんだ、。泣かないでほしい…
ぼくは、君に待っていてなんて言わないよ。
でも僕がもう1度日本に来たときは、そのときは、
君にたとえ恋人がいたって
つれて行くから
覚悟してて」
優しいキスが、私の心を締め付けた。
きっと貴方の事を忘れらないような、占めつけたキス。
でもそんなの無くたって、私は覚悟できてるよ。
だって今の今まで、貴方の笑顔を忘れられなかったし
フィールド上の貴方に
もう恋しちゃったのだから
ここまで読んで下さってありがとうございました<(_ _)>。
どうも「待ってて」「待ってるわ」は、遠距離失敗の定例のような気がして(^_^;)
無邪気で強気な潤慶にしてみました。
音楽=Finalia/P's MAT
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