第1話 〔 空 蝉 の 関 係 〕 Utsusemi no Kankei |
「さん…ここにいましたか」
その声に振り向くと、月明かりに浮かびあがったその姿は幻のように美しくて、あの日を思い起こさせた。
「神出鬼没ですね、先生」
彼は私の師であり、そして 「恋人に対してそれはないじゃないですか」 そう、恋人だ…たぶん空蝉の。
「だって、あの日もそうだった」 「あの日?」 「おじいちゃんが死んだ日」 「ああ…、君に結婚を申し込んだ日ですね」 「そうでしたっけ?」 「ひどいなぁ…」
あのときから、私達は恋人になった。でも…
「考え事ですか」 「…まぁ」
先生は優しい。その上、まだ若いのにうちの道場で1番の使い手で、
『道場は、孫娘のに継がせること』
私も道場に通っていたから、そこらの女の子よりは強いけれど、とても道場主というレベルじゃないし ただ・・・それがおじいちゃんの意思なら、できる限り答えたい、
「例の噂が、まだ気になりますか」 「・・・・・・・・・・・・・」
でも、一番疑ってのは、たぶん私。 「同情なんていらないからね」と言っても、
「じきに、わかるようになりますよ」
先生は、よくそう言う。それは、私が子供ってこと…だよね。 優しい先生は、何を言われても傷つかないくらい私が大人になったら
「……はぁ」 「…なんてため息してるんだい」 「………」 「…明日、朝からどこか出かけようか」 「…え」 「いやですか」
思いっきり、クビを振った。
「じゃあ決まりですね。明朝、迎えにいきます…」 「は、はい」 「それでは、そろそろ帰りましょうか…送りますよ」 「…ありがとうございます」
その後、ぼーっとしながら、家に帰った。 帰ったら、着ていく服をどうしようか、ものすごいことになった。
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いきなり設定激しくてすんません(´▽`;)次はついに近藤さんと出会える予定です。 since 2005.06| メニュー|サイトTOP | |