ぷん、と花の香りがした。
「いい、香り…」
目を覚ますと、青空が見えた。きれいな空…。
「こんなところで、娘っ子が何しちゅう?」
「え!?」
がばっと起き上がると、和服を着た男がこちらを見ていた。ぼさぼさのロンゲが、妙に似合っていた。
「あ、あなた誰?」
「わしか?わしは才谷梅太郎。梅さんやき。」
「梅さん…?(聞いたことないけど、井出達からして、役者さんとか…?)」
「おんしは?」
「あっ私は…」
「ほ〜、わしはまたどこぞの国から来たのかと思ったぜよ」
「ええ!?」
「だっておんしが着ちゅーのは、この国のもんじゃないきに。いや〜目のやりどころに困るがのぉ」
「え?? な、なんなんですか?」
「? どうも、話がつうじんのぉ。おまん、腹の具合はどうじゃ?」
「…はい?」
「で〜と、でもどうじゃ」
「デ、デート!? な、なんですか、いきなりっ」
「ほほ〜、通じるっちゅーことは…ますます気になるぜよ。おごるげに、どうじゃ」
「どうって…(ジロジロ)」
「はっはっはっ、おんしもわしのことが気になるようじゃし、行くぜよ!」
「ちょ、ちょっと…!」
私は突然現れた「梅さん」につれられていった。
そこで私は、自分に何がおこったのか把握した。
「…ここ…どこ…?」
「? 大阪は初めてなが?」
「…お、大阪!? なんで!? てか大阪ってみんな着物なの!?」
「はっはっはっ、おもしろいこと言う娘じゃな〜、日本が初めてなが?」
「日本っていうか本州…」
「本州? わしは土佐じゃが、おんしはどこから来ちゅう?」
「沖縄…」
「オキナワ? 江戸のどこぞの町かのう?」
「え…エドってあの江戸時代の…?」
「? 将軍様のおわすところじゃき。将軍様ぐらいは知っとるじゃろ?」
「しょ、将軍さま!?」
「ん〜…こりゃぁ時間がかかりそうじゃのう」
こうして、私達は食べ物屋?に入って、互いの認識についてしばらく話をした。
そうして、ひとつの結論に至った。
「つまり、おんしは未来から来たかもしれんっちゅーことか!!」
「た、たぶん…」
「ほっほ〜! 異国もんが凄いおもっちょったが、日本もなかなかじゃの〜」
「え?」
「過去に飛ぶ方法があるっちゅうことじゃろ? おんしはよぅわからんうちに来たようじゃが」
「そんな話きいたことないなぁ…」
「新しいもんっちゅーのは、聞いたことがないから新しいんじゃ。きっとすぐ帰れるきに」
「…梅さん…」
「そんまで、楽しんだら良か。そうじゃろう?」
「…正直、いきなりそんな気持ちにはなれないけど…最初に会った人が梅さんで本当に良かった」
「はっはっは、照れるぜよ。まぁ実際のところ、わしは新しゅうもんが好きやき良かったがや、他のもんはなっかなかなぁ…」
「海外で暮らしてたってことにしておいた方がいいのかなぁ?」
「そうじゃな…幸い、おんしは少しは今の時代をしっとるきに、なんとかなりそうじゃが…これからどうするが?」
「う〜ん…それが問題」
そうこう話していると、外から騒がしい声が聞こえてきた。
「乱闘だ!!住吉屋の前で力士と例の壬生浪士組ってのがやってるみたいだぜ!!」
「みぶ浪士…? なんか聞いたことあるような…」
「最近京にのぼってきた、なかなか面しゅう集団じゃ。いっちょ見に行ってみるかの」
「う、うん…てかさ、この格好、目立ってない?」
「わしもたいそう目立つ外見しちゅうぜよ、気にせん気にせん!」
「え〜…?」
そうして、私達は乱闘を見に店をでた。
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